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小児心疾患におけるヘリカルCTの有用性─当院での経験─
九州厚生年金病院小児科1),九州厚生年金病院心臓血管外科2)
弓削哲二1),城尾邦隆1),渡辺まみ江1),岸本小百合1),山村健一郎1),山脇かおり1),井本 浩2),瀬瀬 顯2)

【背景】ヘリカルCTはその低侵襲性と鮮明な画像描出から注目されている.【目的】小児心疾患におけるヘリカルCTの有用性について検討すること.【対象】2004年 5 月~2005年 1 月に当院でヘリカルCTを行った先天性心疾患 7 例.年齢は日齢 6~13歳,体重2.5~47kg,男 5,女 2 例であった.内訳は,(1)IAA (B). aberrant RSA,(2)TOF. severe PS. MAPCAs. 左気管支圧迫,(3)VSDII. RAA. 血管輪,(4)第 5 弓遺残,(5)BWG症候群,(6)CABG後(川崎病後),(7)RCA high take-offであった.【方法】末梢静脈からイオパミロン300 2ml/kgを用手注入し,その後生食を後押しフラッシュした.スライス幅は1.0mmとした.東芝製AquilionSH(16列ヘリカルCT)で撮影し,得られた画像はZIOSOFTM900QUADRAにより三次元画像に再構築した.【結果】(1)日齢 6.大動脈の情報は手術に十分なほど描出良好で,心血管造影を行わず手術を行った.(2)月齢 1.MAPCAによる左気管支圧迫を診断する目的で挿管,筋弛緩下に行った.MAPCAの形態と走行および気管支との位置関係は良好に描出され,心血管造影,気管支鏡の所見と合わせて手術した.(3)月齢 2.血管輪と動脈管索が明瞭に描出され,手術で解除した.(4)5 歳.COAおよび拡張した側副血管の描出は良好で,心血管造影後手術した.(5)1 歳 7 カ月.鎮静自発呼吸下で行った.Artifactが多く,LCAの起始部は同定できなかった.(6)7 歳.LITA-LADバイパス術後評価目的で行った.吻合部と残存瘤の描出は良好であった.(7)13歳.胸痛の精査の結果,RCA high take-offのみであった.息こらえは25秒できたが,高心拍のためartifactが多く冠動脈の描出は不良であった.【結論】心外血管や気管支の描出は良好であった.一方,冠動脈の明瞭な描出には工夫が必要と思われた.

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