P-II-E-5
新生児期の大動脈縮窄症に対するMDCTの有用性の検討─8 列と16列のMDCTの比較を中心に─
聖マリアンナ医科大学心臓血管外科1),国立成育医療センター心臓血管外科2)
近田正英1),関口昭彦2),幕内晴朗1),小林俊也1),村上 浩1),鈴木敬麿1),安藤 敬1)

最近,小児の心臓血管外科手術におけるMDCTは,成人の手術におけるのと同じく有用であると報告されている.今回,新生児期の大動脈縮窄症において,8 列と16列のMDCTの比較を中心に有用性を検討したので報告する.【対象および方法】8 列MDCTを施行したのは 4 例で,16列MDCTを施行したのは 1 例であった.手術所見とMDCTの画像を比較し,手術方針に対する有用性を検討した.【結果】手術はすべて左開胸で行い,1 例で肺動脈絞扼術を併用した.8 列MDCTを施行した症例では,弓部 3 分枝の分枝状況の画像は,手術所見とよく合致しており,遮断部位を検討するのに有用であった.2.1kgの症例では,縮窄部位がやや不明瞭であった.2.2kgの症例では,PDA流入部近位の狭窄が逆に強調されていた.2.7kgでVSDがあり,PA bandingも施行した症例では,狭窄部が実際より長く描出されていた.3.5kgでsmall VSDを合併した症例では,左総頸動脈と左鎖骨下動脈の間の弓部大動脈が細く描出されていたが,やや不明瞭であった.手術所見で外見上十分径があるように思われたので,まず縮窄部切除端々吻合を施行したが,圧較差が消失せずreversed SFAを追加した.弓部大動脈に動脈管組織が入り込んでいるのが原因であった.16列MDCTを施行した2.4kgの症例は,左総頸動脈と鎖骨下動脈の間の分枝に距離があり,その部位の大動脈が細いのが明瞭に描出された.さらに狭窄部は,左鎖骨下動脈近位部の大動脈にも描出され,手術所見も同様であった.手術は,縮窄部切除端々吻合は行わず,左鎖骨下動脈分枝直後で大動脈を結紮切断し,下行大動脈の動脈管組織を切除した後,大動脈弓下面に端側吻合した.【結語】新生児期の大動脈縮窄症において,8 列MDCTでも弓部分枝の状況など有用な情報が得られたが,狭窄部位に関する情報は16列MDCTの方が手術に際してさらに有用な情報が得られた.

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