P-II-E-8
マルチスライスCTと光造形法を応用した先天性心疾患三次元モデルの作成―心臓外科手術およびカテーテルインターベンションのシミュレーションをめざして―
京都府立医科大学大学院医学研究科発達循環病態学1),京都府立医科大学附属小児疾患研究施設小児心臓血管外科2)
白石 公1),梶山 葉1),山岸正明2),浜岡建城1)

【背景】光造形法とは三次元画像情報を元に光硬化樹脂にレーザ光線をあてて実物大のプラスチックモデルを作成する方法である.この方法を用いてマルチスライスCTより得られた三次元データから,複雑先天性心疾患のモデル造形が作成可能かを検討した.【方法】われわれの施設では小児循環器疾患症例に対して2004年12月までに506回(243回のマルチスライスCT検査を含む)のヘリカルCTによる三次元画像構築を実施してきた.マルチスライスCT検査症例の中から左心低形成,総肺静脈還流異常,大動脈縮窄,大動脈離断,肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損(+ 主体肺側副動脈),動脈管開存の 8 症例の光造形を試みた.マルチスライスCT(Aquilion16,Toshiba)より得られた画像を三次元画像処理した後(XTensionもしくはZioM900),データを転送および再処理して光造形を行った.【結果】全例でマルチスライスCTにより得られた画像からモデル造形が可能であり,空間的にねじれた垂直静脈,蛇行した主体肺側副動脈,左心低形成における動脈管と大動脈弓との空間的位置関係を忠実に再現していた.心奇形モデルは実際に手にとって手を加えることが可能であり,軟性のウレタン樹脂を用いると外科手術やカテーテルインターベンションのシミュレーションも可能であった.【結語】マルチスライスCTと光造形法を応用した心奇形レプリカは,患者さんへの説明,医学教育,カテーテルや外科治療のシミュレーション,新しい治療手技の開発に応用し得ると考えられる.

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