P-II-E-13
大動脈縮窄症,大動脈離断症術後の再狭窄例の検討
埼玉医科大学心臓血管外科1),埼玉医科大学小児心臓科2)
枡岡 歩1),朝野晴彦1),加藤木利行1),松岡貴裕1),岩崎美佳1),許 俊鋭1),小林俊樹2),先崎秀明2),石戸博隆2),増谷 聡2)

【背景】大動脈縮窄症(CoA),大動脈離断症(IAA)術後の再狭窄は形態の難しさや低体重時の場合などにおいて発症する場合がある.術後再狭窄に対してはバルーン拡大術が有効であるといわれているが,効果が不確実で再手術が必要になる例もある.当科で再狭窄を来した症例に対し,バルーン拡大術を施行した症例について検討をしたので報告する.【症例および方法】1984~2004年までCoA 43例(simple CoA 11,CoA complex 32),IAA 10例の手術が施行された.手術時年齢 3 日~14歳,平均体重3.5kg(1.28~47.0kg)男女比24:28であった.術式はsimple CoA 11例中,subclavian flap法(SCF)3 例,end to end anastmosis(EEA)7 例,CoA complex 32例ではSCF法12例,EEA法18例,その他 2 例,IAA 10例ではEEA 5 例,Blalock-Park法 2 例,人工血管 3 例であった.最近の 4 例は一期的根治手術を施行している.【結果】手術死亡は 2 例(3.8%)で,体重1,800g,食道閉鎖合併例 1 例が敗血症で,体重2,450gでNorwood手術を行った 1 例が死亡した.再狭窄はCoA例10例(23%)に認め,手術時体重は再狭窄例2.9kg非狭窄例5.33kgであった.IAAでは再狭窄 3 例(30%)で手術時体重は再狭窄例2.4kg非狭窄例3.04kgであった.再狭窄13例全例にバルーン拡大術が施行され,狭窄解除不能であった 3 例の手術時体重は2.5kg,人工心肺下のパッチ拡大術が施行され,その後の再狭窄は発症していない.10例(77%)が有効で手術時体重は3.1kg,その後の再狭窄は発症していない.【結語】CoA,IAA術後の再狭窄に対してバルーン拡大術は極めて有効であった.低体重児のCoA,IAA術後の再狭窄率は高く,バルーンによる狭窄解除不能例も低体重児に多かった.

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