P-II-F-6
心外導管法TCPC後の静脈カニュレーションの工夫
九州大学病院心臓血管外科1),九州大学病院小児科2)
田ノ上禎久1),益田宗孝1),大野拓郎2),塩瀬 明1),徳永滋彦1),西田誉浩1),宗内 淳2),金谷能明2),森田茂樹1)

【目的】本院ではFontan術式として心外導管法によるTCPCを行っている.今回,TCPC後に補助循環を要した 2 症例に対し,心外導管に端側吻合した人工血管から静脈カニューレを挿入する方法を用いて良好な結果を得たので報告する.【症例・結果】症例 1:3 歳 1 カ月女児.両大血管右室起始症,僧帽弁stradling,肺動脈狭窄.両方向性グレン手術後で心外導管法によるTCPCを施行した.術後,血行動態問題なかったが,術翌日,右大腿静脈圧が上大静脈圧に比し 3mmHg高値を示し,心臓エコー検査にて,心外導管吻合部遠位部の下大静脈に狭窄と血流うっ滞を認めたため,緊急手術となった.下大静脈の狭窄部位は前回手術時の下大静脈脱血カニューラ挿入部位より遠位部にあった.上行大動脈より送血し,心外導管に端側吻合した人工血管から下大静脈狭窄部位を越えて挿入されたストレート型静脈カニューレより脱血し,補助循環を開始した.心拍動下に心外導管を下大静脈吻合部の頭側で横切後,導管内の血栓を除去し,狭窄の原因となっていた下大静脈内の膜様組織を切除した.術後,右大腿静脈圧と上大静脈圧の圧較差が消失した.症例 2:2 歳 7 カ月女児.無脾症候群,右心型単心室症,肺動脈閉鎖.両方向性グレン手術後で心外導管法によるTCPCを施行した.低心拍出量症候群のためfenestrationを作成するも,循環動態維持できないため,上行大動脈からの送血,心外導管に端側吻合した人工血管から挿入したストレート型静脈カニューレからの脱血により補助循環を開始した.39時間後に補助循環より離脱できた.【結論】心外導管法によるTCPC後に補助循環を要する際,心外導管に端側吻合した人工血管から静脈カニューレを挿入する方法は簡便であり有用であった.

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