P-II-F-8
当院における無輸血開心術および人工心肺の工夫
静岡県立こども病院心臓血管外科
村田眞哉,坂本喜三郎,猪飼秋夫,藤本欣史,太田教隆,中田朋宏,横田通夫

人工心肺の構成については,回路・人工肺ともに 4 種類あり,各回路のpriming volumeは220ml(BW~8kg),240ml(8~10kg),340ml(10~18kg),800ml(18~35kg),1,000ml(35kg~).全例に動脈フィルタを使用.送血:全例ローラーポンプ.送血回路圧が300mmHg以下となる送血管サイズを選択.脱血:全例陰圧吸引脱血(2001年以降).安全対策としては,(1)脱血陰圧持続測定はリザーバ・脱血回路の 2 カ所で測定.(2)静脈リザーバ陽圧防止弁を 2 カ所で使用.(3)陰圧回路のウォーター・トラップを使用.(4)落差脱血での最低限の環流量維持(落差 -25cmのみでCI 1.5の流量を維持できる脱血管を選択する).DUF:全例に施行,300ml/hrで行う.MUF:基本的に全例で施行.MUF flowはCI 0.2で開始し,血圧の変動がないことを確認後にCI 0.4で維持する.CP:アルブミン加・酸素加crystalloid CPを使用.右心房 1 本脱血で人工心肺を開始し,2 本脱血後は -60mmHg以下の脱血吸引圧を目安にtotal flow 3.0を維持する.脱血吸引圧が -60mmHg以下で十分なflowが確保できない場合は送脱血管位置・回路・静脈リザーバの状態を確認し,さらに脱血管のサイズ変更も検討する.冷却開始とともにSvO2が70%以上を維持するように人工心肺流量を調節する.設定直腸温は,軽症例で32度,中等症で28~32度,重症例・新生児例で25度.通常の根治手術症例では,人工心肺中の最低Hctは20%以上を維持し,MUF終了後のHctは25%以上.重症例・新生児例の場合は,体外循環中のHct 30%以上,MUF終了時には40%以上を目標とし,開心姑息術ではMUF終了時のHctを50%とする.以上の条件を満たさない場合は積極的に輸血を行っている.

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