P-II-F-10
Steroid eluting epicardial bipolar pacing leadとautocapture機能付きペースメーカの組み合わせで 5 年以上経過した 2 例
九州大学病院心臓血管外科1),九州大学病院小児科2)
益田宗孝1),田ノ上禎久1),西田誉浩1),森田茂樹1),大野拓郎2),金谷能明2),宗内 淳2),塩瀬 明1),徳永滋彦1)

【目的】新生児,乳児や幼児におけるペースメーカの問題点の一つにバッテリーの早期消耗が挙げられている.バッテリーの早期消耗の原因としては,心外膜リードでは閾値が上昇しやすいこと,新生児,乳児や幼児では心拍数を成人よりも高く設定する必要があることが考えられている.今回,steroid eluting epicardial bipolar pacing leadとautocapture機能付きペースメーカの組み合わせにより 5 年以上経過した 2 症例につき報告する.【対象】症例 1;多脾症,部分型心内膜症欠損症,体静脈還流異常,洞不全症候群の診断にて 2 歳時に部分型心内膜症欠損症根治術,体静脈還流異常根治術を行い,同時に右室心外膜側にsteroid eluting epicardial bipolar pacing lead(Medtronic社製4968)を装着し,Pacesetter社製ペースメーカのソーラスミニ(2.4V,0.37 msec,60 bpmで予想寿命15.3年)を腹直筋後鞘前に挿入留置した.症例 2;先天性完全房室ブロックの診断にて生後 0 日に右室心外膜側にsteroid eluting epicardial bipolar pacing lead(Medtronic社製4968)を装着し,Pacesetter社製ペースメーカのソーラスマイクロ(2.4V,0.31 msec,60 bpmで予想寿命6.4年)を腹直筋後鞘前に挿入留置した.【結果】症例 1では 6 年,症例 2 では5.5年が経過しているが,ともに閾値は0.6~0.9V(0.4msec)で経過し,なおかつ,autocapture作動が可能であった.症例 1 ではfushion beatにより挿入後2.3年で,症例 2 ではERが取れなくなり挿入後1.5年で,ともに出力を2.1Vの固定に変更した.なお,症例 1 はVVI 90bpmで,症例 2 では当初VVI 120bpmで,2 歳時よりVVIR 85~130bpmで作動させているが,現在のところバッテリー消耗の兆候は認められていない.【結語】steroid eluting epicardial bipolar pacing leadとautocapture機能付きペースメーカの組み合わせは新生児でも可能でバッテリー寿命延長に有効であると考えられた.

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