P-II-F-14
乳児心室中隔欠損 + 肺動脈閉鎖症に対する姑息的右室流出路拡大術の適応と工夫
京都府立医科大学附属小児疾患研究施設小児心臓血管外科1),京都府立医科大学大学院医学研究科発達循環病態学2)
久岡崇宏1),山岸正明1),春藤啓介1),藤原克次1),新川武史1),合志桂太郎1),小川 貢1),浜岡建城2)

【緒言】心室中隔欠損 + 肺動脈閉鎖症は姑息術後の肺動脈の発育が根治術到達に大きく関与する.当科では肺動脈(PA)発育を促すために姑息的右室流出路再建術(pRVOTR)を施行し,その有用性を報告してきた.今回,特別な工夫を行ったpRVOTR症例について検討したので報告する.【対象】1997~2004年に乳児期pRVOTRを施行した11例のうち片側PAに対するpRVOTR 2 例,弁付きpatchあるいは弁付きRV-PA conduitを使用したpRVOTR 3 例について検討した.片側PAに対するpRVOTR:(症例 1)1 カ月時に右mBTS.7 カ月時左PA形成施行後肺動脈左1.7mm.肺血流シンチで右:左 = 81.5:18.5となり 1 歳 3 カ月時左PAへの片側pRVOTR施行.(症例 2)1 カ月時右mBT + 左PA形成施行後,左PA 1.6mm.肺血流シンチで右:左 = 9:1 となり 7 カ月時に左PAへの片側pRVOTR施行.PA弁輪径は60% of N.弁付きpRVOTR:(症例 1)1 カ月時右mBTS施行後 1 歳 1 カ月時pRVOTR(1 弁付きpatch)+ 両側PA形成を施行.(症例 2)6 カ月時total UF + pRVOTR + 中心PA形成 + 弁付きRV-PA conduit(自己心膜roll).(症例 3)1 カ月時左UF + 左mBTS,9 カ月時,中心PA形成 + 右UF + pRVOTR(弁付きePTFE人工血管).弁なしpRVOTR 5 例を対照とした.【結果】片側PAに対するpRVOTR:(症例 1)術後左PA 5.3mmに拡大,肺血流シンチで右:左 = 49.2:50.8と改善し,3 歳 1 カ月時根治術施行.(症例 2)術後左PA 2.4mmに拡大し,根治術待機中.弁付きpRVOTR:pRVOTR後に心カテを施行した 2 例のPAIは症例 1:135→173,症例 2:145→547.弁なしpRVOTRのPAI(平均:201.2→382.6)と比べ有意差はなかった.pRVOTR術後RVEDPは症例 1:4mmHg,症例 2:5mmHgで,弁なしpRVOTR群(平均:10.8mmHg)より低値を示した.【考察】片側pRVOTRにより狭窄側の効果的なPA発育が得られた.また弁付きpRVOTRによるPR減少により,右室容量負荷軽減と順行性血流増加によるPA発育が期待できる.

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