P-II-F-15
One and one half ventricular repairを行った肺動脈閉鎖の11歳男児例─自律神経機能解析を含めた術後の評価─
関西医科大学小児科1),関西医科大学胸部心臓血管外科2)
寺口正之1),吉村 健1),池本裕実子1),今村洋二2)

【症例】11歳の男児.【主訴】頭痛,めまい.【現病歴】生直後から心雑音とチアノーゼがあり,肺動脈閉鎖の診断で,生後 1 カ月に右体肺動脈短絡術が施行された.生後 5 カ月の心臓カテーテル検査(心カテ)では,右室拡張末期容積は正常の72%,三尖弁輪径は正常の75%で 2 心室修復を目指した.生後 6 カ月に右室流出路形成術を行った.心房中隔欠損の右左短絡によるチアノーゼが高度のため,7 歳時に心カテを行った.右室と三尖弁輪との発育がみられないことが判明し,両方向性Glenn手術と心房中隔欠損閉鎖を行いone and one half ventricular repairとした.術後,強心薬・利尿薬の投与で血行動態は安定していたが,頭痛とめまいを訴え,学校生活に支障を来すようになった.今回,心カテの目的で入院した.心雑音は 2LISに 2 度の収縮期雑音と拡張早期雑音を聴取する.肝脾腫はない.心カテ:SVC 10/13/10,RA 13/9/7,IV C12/8/7,RV 28/0/EDP2,mPA 14/8/9,CI 3.0 l/min/m2,右室拡張末期容積:正常の51%,三尖弁輪径:正常の62%.【自律神経機能評価】起立テストでは,起立後の心拍数が30増加したが血圧の低下はなかった.Holter心電図による心拍変動解析では,副交感神経の指標であるRR50は,昼間活動時に0.34~3.99%と低値で夜間には9.37~37.25%と増加した.同様の指標の高周波領域スペクトル(HF)は昼間低値(49.3~102.0msec2)で夜間増加した(713.1~2,125.2msec2).【考案】頭痛とめまいとの原因として,体位性頻脈症候群が考えられた.副交感神経機能低下は,右房の圧受容体の進展による迷走神経抑制効果が関与していると推察した.

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