P-II-F-17
フォンタン型手術適応症例疾患群における肺動脈弁の処理
岐阜県立岐阜病院小児心臓外科1),岐阜県立岐阜病院小児循環器科2)
滝口 信1),竹内敬昌1),八島正文1),安達真也2),後藤浩子2),桑原直樹2),桑原尚志2)

【目的】フォンタン型手術(F)適応症例疾患群において,将来の左室流出路狭窄(SAS)や血栓などの問題から,肺動脈弁をいかに処理すべきか検討した.【対象】1997年1月~2005年2月までに,F到達,あるいはグレン型手術(G)施行後F待機中の27例のうち,肺動脈閉鎖,肺動脈弁欠損,Norwood型手術術後を除く19例.肺高血圧(PH)群(n = 10)と肺動脈狭窄(PS)群(n = 9).PH群では全例先行手術として肺動脈絞扼術(PAB)を施行されていた.【結果】PH群では 4 例で肺動脈弁を閉鎖しており,術後肺動脈弁を閉鎖したことに関連した合併症は認められていない.PH群で肺動脈弁を閉鎖していない 6 例のうち,1 例は心耳-肺動脈吻合によるHemi-F時に死亡した.生存例 5 例中,4 例にDamus-Kay-Stansel型手術(DKS)が施行されており,他の 1 例〔TGA(II),hypo RV〕では心室中隔欠損孔拡大術によるSAS解除術の後,肺動脈弁温存のまま断端を閉鎖した.DKS施行症例では術後,全例心臓超音波検査(心エコー)での肺動脈弁閉鎖不全はtrivial以下で,心臓カテーテル検査でも体心室-上行大動脈間の圧較差は認められていない.PS群では全例肺動脈弁は閉鎖せず,主肺動脈の可及的基部で切断し,断端のみを閉鎖した.術後,肺動脈弁を放置したことによる死腔での血栓形成症例は認められていない.【考案と結語】当科では現在,PH群はPABを施行後,形態的にSAS発症の可能性が考えられる症例では積極的にDKSを施行し,SASの問題がなければP弁を閉鎖する,PS群は基本的にP弁は放置する,という方針であり,その方針は妥当であると判断している.PH群,PS群とも,その妥当性につき今後さらなる症例の積み重ねにより検討が必要である.

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