P-II-G-1
新生児動脈管開存閉鎖術におけるBNP値の変化
岐阜県立岐阜病院新生児センター
長澤宏幸

【目的】BNP(B-type natriuretic peptide)は心不全を定量的に評価する指標として小児,成人を問わず広く計測されている.新生時期における動脈管開存に対しては,インドメサシン投与が第一選択であるが,頭蓋内出血などによりインドメサシンが投与できない心不全症例では動脈管閉鎖術を施行せざるを得ない.今回,動脈管閉鎖術前後におけるBNP値の変化を測定し,閉鎖術後の心不全の改善経過を観測した.【対象・方法】動脈管開存により心不全を来し,頭蓋内出血などによりインドメサシン投与が困難で,動脈管閉鎖術を施行せざるを得なかった新生児 8 例.動脈管閉鎖術前後におけるBNP値の変化を測定し,併せて心エコーによる左室径および動脈圧との比較をした.【成績】(1)BNP値は術後24時間で約10分の 1 まで低下した.その後の減少は緩徐となったが,術後 1 週間では正常範囲内には達しなかった.(2)左室径は術後 2 日に最低となり,その後緩やかに増加に転じた.駆出率は術後12時間に最低となり,24時間でほぼ術前と同じ値となり,その後は一定に推移した.(3)血圧は収縮期,拡張期とも術後 2 日後まで上昇し,その後は一定に推移した.【結論】新生児において動脈管閉鎖術後においても比較的長期にわたりBNP値は正常化しなかったことから,軽度の心不全状態は 1 週間以上継続しているのではないかと考えられた.

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