P-II-G-3
動脈管依存性先天性心疾患に対するPGE1-CD製剤使用例の検討
大阪府立母子保健総合医療センター小児循環器科1),大阪府立母子保健総合医療センター心臓血管外科2),なかじまクリニック小児科循環器科3)
角由紀子1),萱谷 太1),那須野明香1),北 知子1),稲村 昇1),中島 徹1, 3),上仲永純2),盤井成光2),川田博昭2),岸本英文2)

【背景】動脈管依存性先天性心疾患に対し,当センターではまずlipo PGE1(以下lipo)を,その後無効例に対しPGE1-CD(以下CD)を使用することが多いが,実際の使用法は多様である.【目的】当センターにおけるCD剤の使用について検討すること.【対象】2000年より 5 年間で動脈管依存性先天性心疾患に対してCD剤を使用した30例を対象とした.それらを,動脈管依存性肺血流型(以下P群)15例,動脈管依存性体血流型(S群)9 例,肺体血流混合型(M群)6 例に分類した.内訳(症例数)は,P群:critical PS(3),PAIVS(1),TOF/PA or PS(3),Ebstein/PA(1),DORV/PS(3),SV/PA or PS(4),S群:CoA complex(3),IAA complex(1),HLHS(3),TAPVC(2),M群:TGA(6).【方法】疾患群ごとに,CD剤使用の経過,投与開始日齢,入院後開始までの日数,投与開始量,副作用,入院時ductal shockの有無,を検討した.【結果】CD剤使用の経過として,lipo→CD変更例は22例(73%),CD→lipo変更例は 1 例(3%),CDのみ 7 例(23%)であった.またCDのみの中で 6 例がS群であった.CD剤投与開始日齢は,平均P群27.1,S群5.4,M群10.7日で,P群よりも有意にS群で早期であった(p = 0.01).入院後開始日数は,平均P群26.3,S群1.3,M群5.2日で,S群,M群ともにP群より有意に早期に開始されていた(p = 0.005,p = 0.03).投与開始量は平均P群29.1,S群41.1,M群37.7ng/kg/hrで,S群はP群より有意に高かった(p = 0.006).副作用としては,浮腫 9 例,発熱 8 例,無呼吸 4 例,下痢 1 例,骨膜肥厚 1 例,CRP上昇 1 例を認め,それらは群間で有意差はなかった.また入院時ductal shockは 5 例に認め,群間での有意差はなかった.【まとめ】(1)CD使用例の多くがlipo→CD例であった.(2)S群においては,有意に早期に,そして有意に多量のCD剤が投与開始されていた.(3)CD剤による副作用の頻度は群間で有意差はなかった.

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