P-II-G-6
8 番染色体部分トリソミーに完全大血管転位症と小腸閉鎖症を合併した 1 例
松戸市立病院新生児科1),松戸市立病院小児科2),松戸市立病院心臓血管外科3)
坂井美穂1),松本康俊2),鈴木一広2),本間 順1),永瀬裕三3)

【はじめに】8 番染色体異常に完全大血管転位症と小腸閉鎖症を合併したまれな症例を経験したので報告する.【症例】日齢 0 男児.妊娠歴:0G 0P,妊娠経過は問題なし.39週 5 日3,402g Apgar score 7(1)-7(5)胎児仮死兆候を認め,帝王切開にて出生した.出生後に呼吸障害を認め,挿管するもチアノーゼが改善しないため,当科搬送入院となった.入院時心エコー検査などにて完全大血管転位症(d-TGA)1 型と診断し,プロスタグランジン製剤の使用を開始した.入院時ショック状態であり,PH7.176 BE-7.7,X線上含気が不良であり,カテコラミンやステロイドなどの投与を行った.徐々に呼吸循環状態は安定したが,日齢 3 頃より腹満,胆汁性嘔吐を認め,検査にて小腸閉鎖症が疑われ,手術を施行した.回腸閉鎖症であった.術後経過は良好で,日齢 6 に抜管した.日齢13に心カテを施行し,coronary pattern Shaher 1のd-TGAで,日齢14にJatene手術を施行した.術後経過は良好に経過し.日齢60に退院した.入院時に行った染色体検査にて,患児は46, XY, 8p23 + ?が検出されたが,両親ともに染色体は正常であった.結局,SKY法も含め検討したところ46, XY, dup(8)(p23.3p23.3)de novoとなり,8 番染色体短腕の部分トリソミーと考えられた.現在 2 歳になるが,発育は良好であり,術後経過も良好であるが,発達はつたい歩きがようやく可能で,有意語も数個であり,遅れを認めている.【まとめ】d-TGAに染色体異常を合併することは少ない.8 番染色体部分トリソミーにはVSDなどの合併報告はあるが,d-TGAの報告はなく,本症例はまれな症例と考えられた.文献的考察を加えて報告する.

閉じる