P-II-G-9
ファロー四徴症心内修復術後長期遠隔期における再手術例の検討
三重大学医学部胸部外科1),三重大学医学部小児科2)
高林 新1),横山和人1),梶本政樹1),新保秀人1),澤田博文2),三谷義英2)

【目的】ファロー四徴症(TOF)根治術後10年以降に再手術を要した症例の成績,手術術式,経過を検討しTOF術後長期遠隔期の問題点につき評価した.【対象】1964年10月~2004年 3 月に当科で施行した肺動脈狭窄(PS)を伴うTOFに対する手術は279例(根治術:233,姑息術:33,再手術:13例)であった.根治術の際に1995年までは全例で右室切開を施行,1996年以降は右室非切開を第一選択とした.1994年 9 月以前の根治術施行例181例中,長期遠隔期(> 10y)の経過観察を行い得た症例は139例で,うち長期遠隔期に再手術を要した 7 例(5%)を対象とした.【結果】再手術例 7 例中根治術前に姑息術を施行したのは 2 例(16y-Brock:1,15y-original BT:1 例)であった.根治術施行年齢は9.7 ± 8.9(2~24)歳,体重27.9 ± 21.9(13.4~60)kgであった.根治術式は全例経右室的にVSD閉鎖を施行し,右室流出路狭窄解除術式は筋切除 + 右室パッチ拡大術:4,筋切除 + 肺動脈弁交連切開 + 右室パッチ拡大術:2,Rastelli型:1 例であった.再手術は根治術後17.1 ± 5.3(10~23)年に施行し,再手術施行年齢は25.3 ± 11.7(16~45)歳,体重57.7 ± 5.5(49.2~64)kgであった.再手術適応は右室流出路再狭窄:2,右室流出路再狭窄 + VSD遺残:1,不整脈 + VSD遺残:1,BTシャント遺残:1,ASD遺残:1,導管狭窄 + 部分肺静脈還流異常症(PAPVC):1 例で,手術術式はtransannular patch:1,右室流出路筋切除:1,肺動脈弁交連切開 + VSD閉鎖術:1,導管置換 + PAPVC根治術:1,VSD閉鎖術:1,ASD閉鎖術:1,BTシャント結紮術:1 例であった.再手術時術後経過は平均ICU滞在日数は1.6 ± 0.9日,入院期間は21 ± 7 日であった.全例NYHA 1 度で再手術後に合併病変の進行は認めていない.【結語】右室流出路狭窄例,遺残短絡例は長期遠隔期においても心不全,不整脈の進行につき注意が必要と考えられた.

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