P-II-G-10
Warfarin内服中にもかかわらずFontan型手術後遠隔期に小脳梗塞を来した 1 例
日野記念病院小児科2),滋賀医科大学小児科2)
星野真介1),神谷 博2),白井丈晶2),渡邊格子2),藤野英俊2),中川雅生2),竹内義博2)

【背景】Fontan型手術後の合併症として血栓症は重要であり,合併する凝固線溶系の異常より抗凝固療法の必要性や方法について議論されている.われわれはlow dose Warfarinにより抗凝固療法を行っていたにもかかわらずFontan型手術後 3 年に脳血管塞栓を発症した症例を経験したので報告する.【症例】5 歳男児,診断はasplenia,SRV,PA,PDA,DIRV.1999年10月14日(1 歳 1 カ月)BCPS,2000年11月 9 日(2 歳 2 カ月)にTCPC(extracardaic conduit)を施行.術後はWarfarinを内服し,protein C活性は10%以下と低値であったがPT-INRは1.5~2.0にて経過観察していた.2004年 5 月13日幼稚園にて突然嘔吐認めたため当院受診.傾眠傾向であり,頭部MRIにて左小脳梗塞と診断した.浮腫による水頭症を合併したため 5 月16日脳室ドレナージ施行,その後症状改善し神経学的後遺症なく退院した.心精査では経食道エコーで心房内血栓はみられず,ホルター心電図では心房性不整脈を認めなかった.心臓カテーテル検査では中心静脈圧は平均10mmHg,conduitから肺動脈にかけての造影は問題なく右左シャントも認めなかった.現在Warfarinを増量しPT-INRを2.0~2.5でコントロール中である.【考察】Fontan型手術後の動脈血栓症による脳血管発作は3.6%で,PA banding後やDILV例がrisk factorと報告されている(Davis S,2004).protein C活性に応じてWarfarin controlは厳重にする必要があると考えられた.

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