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E-III-12 |
Qp/QsをPaO2のみで推測する方法─complete mixing circulationにおける検討─ |
埼玉医科大学小児心臓科
杉本昌也,先崎秀明,熊倉理恵,熊谷晋一郎,岩本洋一,石戸博隆,松永 保,竹田津未生,小林俊樹 |
【背景】肺体血比(Qp/Qs)は先天性心疾患の管理において極めて重要な要素の一つである.Qp/QsはFickの式により動脈血酸素飽和度(PaO2)と混合静脈血酸素飽和度(mixV)および肺動脈,肺静脈血酸素飽和度より求めることができる.今回われわれは肺静脈血と大静脈血が心室内で完全にミキシングされる血行動態においては,肺血流量が増加して十分酸素化された血液がたくさん還流しても,その分体血流量が減少し末梢での相対的酸素消費量が増加するためmixVは低下すると考え,お互いに相殺しmixVはほぼ一定になるという仮説を立てた.その仮説を検証するとともに,Qp/QsがPaO2により推測可能であるかを検討した.【対象および方法】1998~2005年 1 月に当院に入院し心臓カテーテル検査を施行した患者のうちその血行動態がcomplete mixingの24名.疾患の内訳は肺動脈閉鎖 9 名,単心室 7 名,DORV + PS + BT shunt後 5 名,三尖弁閉鎖 3 名.年齢は 1 カ月~6 歳(中央値 6 カ月).心臓カテーテル検査により測定したmixVと,PaO2,Fickにより求めたQp/Qsを比較検討した.形態的に肺動脈への血流はすべて大動脈あるいはミキシングされた心室から供給され,左心房に還流した血液は十分に酸素化されていると仮定し,肺静脈酸素飽和度は96%とした.【結果】(1)mixVはQp/Qs値にかかわらずほぼ一定値39~67%(平均53.6%)であった.(2)Qp/QsはPaO2とともに上昇しy = 0.0008e0.0955x(y:Qp/Qs,x:PaO2)で表すことができた(R2 = 0.81).(3)(2)で求めたQp/Qsと実際の心臓カテーテル検査で得られたQp/Qsを比較すると,R2 = 0.83と非常に良い相関が得られた.【まとめ】単心室や三尖弁閉鎖などの動静脈血が心室内で完全にミキシングされる血行動態の疾患では,mixVはほぼ一定値をとることが示唆された.Qp/QsはPaO2で推測することができ,それは実側値と非常に良い相関にあることが示された. |
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