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E-III-28 |
心室性不整脈症例に対する電気生理学的検討 |
日本大学医学部小児科
谷口和夫,住友直方,平野幹人,阿部 修,宮下理夫,金丸 浩,鮎沢 衛,唐澤賢祐,岡田知雄,原田研介 |
【目的】心室頻拍(VT),心室細動(VF)は突然死を起こしうる重篤な不整脈である.特に器質的心疾患に合併する症例は,血行動態の悪化を来しやすいことが推測される.今回,VT,VF症例に電気生理学的検討を行ったので報告する.【対象】対象は電気生理学的検討を行ったVT,VF症例28例である.基礎心疾患,頻拍の機序,アブレーションの成否を検討した.VTを右室流出路からのアデノシン感受性VT(ARVT),右室流出路からのプロプラノロール感受性VT(PRVT),左室からのベラパミル感受性VT(VLVT),これ以外のリエントリ性VT(RVT),自動能に分類した.【結果】28例中基礎疾患を有する症例(O群)は 6 例であった.基礎疾患の内訳は心室中隔欠損術後 1 例,左室瘤 1 例,僧帽弁逆流(Marfan症候群)1 例,川崎病後冠動脈障害 1 例,冠攣縮性狭心症 1 例,肺動脈狭窄 1 例であった.O群ではカテコラミン誘発性心室頻拍(CPVT)が 1 例,VFが 2 例含まれていた.基礎疾患を有しない症例(I群)のうち 1 例はCPVTで,21例は特発性VTと考えられた.右室起源14例のうちARVTが 6 例,PRVTが 1 例,左室起源 8 例のうちVLVTが 5 例,またRVTは 2 例,自動能は 1 例であった.治療はアブレーション(RF)を21例に行い,12例が根治に成功した(O群 2 例中 1 例).ICDは 3 例(O群 2 例)に植え込み,薬剤治療は 8 名に行っている.I群では根治に至らなかったうち 7 例は無投薬で経過観察できている.PSを合併したCPVT例が劇症型心筋炎で死亡した.【考察】器質的心疾患を合併する例では薬物やICDが必要な症例がみられ,RFの成功率も低く,予後も悪かった.特発性の例ではカテーテルでの根治または,薬物療法等により頻拍のコントロールが可能であり,自然消失例もあり予後も良好と考えられた. |
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