I-B-11
当院における修正大血管転位症の治療と予後
東京女子医科大学循環器小児科1),東京女子医科大学心臓血管外科2)
池田亜希1),中西敏雄1),篠原徳子1),石井徹子1),富松宏文1),山村英司1),森 善樹1),新岡俊治2),黒澤博身2),中澤 誠1)

【目的】当院における修正大血管転位症の治療と予後について検討する.【対象】1968~2005年に当院で修正大血管転位症という診断を受けた214例.【方法】心内の合併症と治療法,その予後について検討した.無脾症候群 1 例,多脾症候群 6 例を認めた.心室中隔欠損症と肺動脈閉鎖群(VSD + PA群)が71例,心室中隔欠損症と肺動脈狭窄群(VSD + PS群)が85例,心室中隔欠損症と中等度以上の三尖弁逆流を伴う群(VSD + TR群)17例,心室中隔欠損症のみの群(VSD群)が21例,三尖弁逆流のみの群(TR群)9 例,その他(others)11例であった.治療は右室が体循環を担うタイプ(C:conventional)62例,左室が体循環を担うタイプ(DS:double switch)81例の 2 心室修復とフォンタン型(F:Fontan)34例の 1 心室修復,三尖弁の弁形成,弁置換のみを行ったもの(TV:TVP or TVR)7 例,その他の手術(O:other op)としてペースメーカ植込みやシャント手術など 4 例,外科治療なし(No:non-op)26例の 6 群に分類された.手術時年齢はそれぞれ10,5,10,10,26歳でフォローアップ期間はそれぞれ19,9,10,12,1 年でNo群の現在の年齢は29歳であった.【結果】治療法別の手術死亡はC群16%,DS群11%,F群 6%,TV群 0%で,遠隔期では10年後,15年後の生存率はそれぞれC群89,84%,DS群89,89%,F群88,78%,TV群83,28%であった.NYHA class II以上の心不全症状は手術方法ごとにC群13%,DS群 5%,F群 7%,TV群 0%,O群 4%,No群 4%であった.【結論】治療法別の予後ではTV群の死亡率が高かったがその他の群では有意差を認めなかった.今後もフォローアップが必要である.

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