I-B-52 |
成人期に外科的閉鎖を受けた心房中隔欠損(ASD)136症例の臨床的特徴 |
天理よろづ相談所病院小児循環器科1),天理よろづ相談所病院心臓血管外科2)
吉村真一郎1),松村正彦1),根本慎太郎2),上原京勲2),西村和修2) |
【目的,対象】昨年よりAmplatzer septal occluder(ASO)が認可され,ASDの治療方針が大きく変わることが予想される.しかし,40歳以上の症例においては,慢性心房細動(AF)や中等度以上の三尖弁逆流(TR)または虚血性心疾患(IHD)合併例が多く,外科的閉鎖術が推奨される例も少なくないと考える.そこで,当院で閉鎖術を受けた18歳以上のASD症例136例を振り返り,その臨床像より,成人ASD患者の今後の治療方針について検討した.【結果】男女比は53:83,女性の77%に出産歴を認めた.術中所見で40mm以上のASDを17例に認めた.年齢は40歳未満のA群36例,それ以上のB群100例.A群では有症状が25%,chronic AF 6%,平均圧25mmHg以上のPH 6%.B群では有症状が69%,chronic AF 28%,PH 26%,術後新たにAFを11%が発症した.右側のみのMaze手術が 6 例に施行されたが 5 例は無効であった.TAPは28例に施行され,26例がB群であった.IHDは 6 例全例ともB群であり,5 例にCABGが施行された.術後遠隔期の脳合併症は 3 例に認め,前例B群でAFの症例であった.【考察】成人ASD患者の多くは40歳以上の中高年患者であり,AF,TR,IHD合併の観点から外科的閉鎖術が推奨される患者が多数いるため,ASO適応評価は慎重に行わなくてはならないと考えられた. |
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