I-B-54 |
High risk成人Fontan手術の早期・中期成績 |
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科心臓血管外科1),岡山大学医学部・歯学部附属病院循環器疾患治療部2)
藤井泰宏1),赤木禎治2),笠原真悟1),神吉和重1),石野幸三1),泉本浩史1),佐野俊二1) |
近年,先天性心疾患に対する手術成績は著しく向上し,今まで手術適応外とされていた成人Fontan適応患者へのFontan手術が増加傾向にある.今回われわれは,当院における20歳以上成人Fontan手術の早期・中期成績について検討した.【対象】1992年12月~2005年 7 月にFontan手術を施行した20歳以上複雑心奇形患者18例(男 9 例,女 9 例).平均年齢33.2歳(22.8~56.1歳).【結果】平均follow-up期間は54.5カ月(1~134カ月).14例がハイリスク症例で,その内訳は,肺血管抵抗 ≧ 2.0 unit・ms/m2が 7 例,中等度以上の房室弁逆流が 2 例,心不全EF < 50%が 5 例,VT・VF発作が 3 例,PAI < 200が 1 例,PA plasty施行が 4 例,TCPC conversionが 5 例であった.mFontan手術を 1 例に,TCPCを17例に施行した.1 例が術後LOS・縦隔洞炎で早期死亡し,1 例が術後 4 年目に脳出血で死亡した.術後の合併症率は94.4%(17/18)で,そのおもなものは不整脈と胸水・心嚢水・腹水の貯留であった.術後完全A-Vブロックを 1 例,2 度A-Vブロックを 1 例,SSSを 5 例,上室性頻拍を 8 例認め,ペースメーカを要した患者が 3 例,上室性不整脈が中期的に消失しない患者が 5 例であった.心筋梗塞に伴うVT発作を 1 例認めた.平均ドレーン留置期間は11.8日,PLEを 2 例に認めた.【結論】多くの成人Fontan手術適応患者はさまざまなハイリスク因子を持ち,術後の合併症率は非常に高い.特に上室性頻拍,徐脈性不整脈に十分な注意が必要と思われた.しかし,死亡率は早期で5.6%,中期で11.2%と許容できるもので,積極的にFontan手術適応を検討するべきと思われた.長期成績については今後の検討が必要である. |
| 閉じる |