I-B-55 |
30歳を超えたチアノーゼ性先天性心疾患修復術後症例の検討 |
兵庫県立尼崎病院心臓センター小児循環器科1),兵庫県立尼崎病院心臓センター心臓血管外科2)
坂崎尚徳1),李 進剛1),若原良平1),藤原慶一2),大谷成裕2),大野暢久2),森島 学2),西村 崇2),藤原靖恵2) |
【方法】18歳までに最終手術を受け,30歳を超えたチアノーゼ性先天性心疾患(CCHD)症例101例(男60例,中央値33歳,30~47歳)を対象とし,臨床記録から,最終受診時のability index,30歳以上の入院,死亡,肥満,高血圧,糖尿病の有無,血清コレステロール(CHO)値,血清トリグリセリド(TG)値,尿酸値を調べた.さらに,血清CHO値と最終手術時年齢,術後年数との相関を調べた.【結果】(1)82例(81%)が,ability index 1 であった.((2)入院例は10例で,その原因は心房粗動 4 例,心室頻拍 1 例,心不全 1 例,感染性心内膜炎 1 例,高度貧血 2 例,子宮筋腫 1 例であった.死亡例は 3 例で,原因はLOS,IE後の脳梗塞,突然死であった.(3)肥満は 6 例(6%),高血圧は 2 例(2%),糖尿病は 2 例,高CHO血症(>220mg/dl)は 4 例(5%),低CHO血症(<160mg/dl)は27例(42%),高TG血症は(>150mg/dl)8 例(13%),高尿酸血症(>7mg/dl)は 9 例(15%)に認められた.(4)血清CHO値は,手術時年齢と有意な負の相関関係を認め(r2 = 0.17,p = 0.0006),術後年数とは正の相関関係を認めた(r2 = 0.19,p = 0.0003).【結論】30歳を超えたCCHD術後症例の 8 割のQOLは保たれていた.さらに,CCHD症例では,術後でも低コレステロール血症の頻度は42%と高く,血清総コレステロール値は,手術時年齢,術後年数と有意に相関していた.この結果からは,低酸素血症の期間がコレステロール合成に関与している可能性が示唆された. |
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