I-B-58 |
成人Fallot四徴症の遠隔期心室機能とclinical status―再手術の与えた因子とは?― |
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科心臓血管外科1),岡山大学医学部・歯学部附属病院循環器疾患治療部2)
小谷恭弘1),赤木禎治2),本浄修己1),板垣晶子1),笠原真悟1),石野幸三1),河田政明1),佐野俊二1) |
【背景】現在のFallot四徴症の手術成績は安定しており良好な長期予後が報告されている.しかしすでに成人期に達しているFallot四徴症術後例は,本疾患の外科治療が可能になった初期の症例であり,さまざまな残存病変を残している可能性がある.これらの病変のなかには再手術を必要とするものもあるが,再手術が術後心機能やclinical statusに与える因子についての知見は限られている.【目的】経右室切開によるアプローチを用いて根治術を施行したFallot四徴症後症例において,再手術が術後心室機能とclinical statusに与える影響について検討した.【対象・方法】根治術を施行後15年以上経過したFallot四徴症16例.年齢は29~53歳(平均35歳).これらの症例において心電図,胸部X線,エコーによる心機能(efection fraction,TEI index),NYHA classについて検討した.【結果】4 症例で再手術(PVR 1,RVOT reconstruction 2,AVR 1,TVR 1)が行われていた.心エコー検査において 7 例でmoderate,7 例でmildの肺動脈弁逆流を認めた.NYHA classはclass Iが10例,class IIが 6 例であり,再手術例はすべてclass IIであった.再手術群では非再手術群に比べ,有意に心胸郭比が拡大しており心電図QRS幅は有意に延長していた(p < 0.05).再手術群では非再手術群において肺動脈弁逆流程度に差はないものの,右室拡張末期径は再手術群が有意に大きく(p < 0.05),潜在的な右室機能不全の存在を疑わせた.【結語】経右室切開アプローチによる根治術施行した成人期Fallot四徴症例おける再手術例は,肺動脈弁閉鎖不全を主体とする残存病変を解除できた後でも右心室機能不全が持続し,clinical statusの改善も十分ではなかった.これらが再手術そのものに起因するのか,あるいは再手術の時期,初回手術に起因するのか明確に区別することは困難であるが,今後長期にわたる生命予後に影響する可能性もあり慎重な経過観察が必要と思われる. |
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