I-B-59 |
2 心室型心内修復術後の成人における運動耐容能の低下に関与する因子の多様性 |
大阪厚生年金病院小児科1),国立循環器病センター小児科2)
浜道裕二1),松尾真意2),林 環2),渡部珠生2),大内秀雄2),山田 修2),越後茂之2) |
【背景】成人の心疾患で,運動耐容能は心不全の重症度および生命予後を予測する指標として用いられる.最近では,左室駆出力の低下以外に呼吸機能や貧血などが運動耐容能に関与する因子として報告されてきているが,成人先天性疾患例についての報告はない.【目的】成人の 2 心室型心内修復術(BVR)後例においてどのような因子が運動耐容能の低下に関与するか後方視的に検討.【対象と方法】18~38歳のBVR後の112例.運動負荷試験から最高酸素摂取量(pkVO2)を求め,pkVO2が20ml/kg/min未満(36例)を運動耐容能低下群と定義し,20ml/kg/min以上の群(76例)との間で以下の因子を検討.年齢,性,体格(BMI),Hb量,心臓カテーテル検査,呼吸機能検査から得た各パラメータ.統計は単解析で有意差を認めた因子をさらに多変量で解析し,運動耐容能低下に関与するオッズ比を求めた.【結果】pkVO2が20未満の群では,Hb量,右室駆出率,心拍出係数,1 回拍出係数,肺活量,ピークフロー値が有意に低下.また女性,左室駆出率が45%以下の者が有意に多かった.加齢,術後年数,再手術の有無では有意差を認めなかった.次に有意差を認めたこの 8 因子を多変量解析で検討.pkVO2低下(20ml/min/kg未満)に独立して関与するのは 6 因子.女性(オッズ比7.2倍),Hb 11.7g/dl以下(10.6倍),LVEF 45%未満(18.9倍),RVEF 37%未満(13.0倍),1 回拍出量26ml/min/m2未満(9.8倍),ピークフロー値64%未満(3.5倍).【結語】成人のBVR後例の運動耐容能の低下に関与する因子は多様であった.QOLも含めた成人先天性心疾患の長期的な予後を良くするためには,左室駆出率だけでなく,totalの因子の衰えに留意し,改善することが望まれる. |
| 閉じる |