I-B-61
成人期先天性心疾患患者の側彎に関する検討
久留米大学医学部小児科
姫野和家子,須田憲治,石井治佳,籠手田雄介,岸本慎太郎,家村素史,前野泰樹,菅原洋子,加藤裕久,松石豊次郎

【背景】先天性心疾患の診療において,側彎の合併を経験することがある.側彎は運動耐容能を低下させるのみならず,心疾患の治療方針そのものに影響を与える可能性があるが,先天性心疾患患者の側彎についての報告はほとんどない.【目的】成人期先天性心疾患患者において,側彎の頻度,およびその発症や程度に関連する因子を検討すること.【方法】対象は,成人先天性心臓病外来で側彎を合併した患者51例.年齢中央値30.5(22~45)歳.男性15人,女性36人.NYHAはclass I 27人,class II 18人,class III 6 人.側彎の程度を,軽度(n = 32),中等度(n = 13),重度(n = 3)の 3 段階に分類し,他の因子との関連を検討した.【結果】側彎の頻度は,外来登録患者568人中 9%.手術は,手術歴あり26人(51%),手術歴なし25人(49%).手術の開胸法は,正中開胸15人(60%),側開胸 4 人(16%),正中 + 側開胸 6 人(24%).チアノーゼの有無は,チアノーゼ残存(C群)10人(20%),チアノーゼが以前に存在(CR群)12人(23%),チアノーゼなし(N群)29人(57%).側彎方向は,右彎曲39人(83%),左彎曲 8 人(17%).左彎曲の 8 人中 3 人が右胸心であった.成人期に側彎の程度が進行したもの,側彎に起因する症状を有するものはなかった.治療を要したもの 1 人であった.側彎の程度は,C群は軽度 4 人,中等度以上 6 人,CR群は軽度 5 人,中等度以上 5 人,N群は軽度23人,中等度以上 5 人で,C群とCR群はN群と比較し側彎の程度が強かった.NYHA class I は軽度20人,中等度 6 人,class II は軽度10人,中等度以上 7 人,class III は軽度 2 人,中等度以上 3 人と,NYHAが高いほど側彎の程度は強かった.手術歴の有無と側彎の程度に関連は認められなかった.重度の 3 人は,22q11.2欠失症候群,鎖肛,骨格系の異常をそれぞれ合併していた.【結論】成人期先天性心疾患患者に比較的高頻度に側彎を合併した.合併する側彎の程度はNYHAとチアノーゼの有無に関連していた.

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