I-B-69 |
大動脈縮窄症・大動脈離断症術後圧反射の亢進―どれぐらい影響があるのか?― |
北海道大学大学院医学研究科小児科学分野
村上智明,武田充人,上野倫彦,八鍬 聡,山澤弘州 |
【目的】大動脈縮窄症・大動脈離断症術後遠隔期における問題点の一つは早期の心血管病(高血圧,虚血性心疾患,脳血管障害,突然死など)である.われわれはこの成因の一つとして圧反射の亢進について報告してきた.圧反射は小児期には亢進しているが徐々に低下し10代後半に最小となり,その後加齢とともに増強することが知られている.今回われわれは大動脈縮窄症・大動脈離断症術後患児における圧反射の増強がどの程度影響するのかを検討するために正常血行動態における圧反射と比較検討した.【対象と方法】73例の血行動態的異常が非常に小さい先天性心疾患患児(正常コントロールとみなした)および20例の大動脈縮窄症・大動脈離断症術後患児を対象とした.心臓カテーテル検査時に上行大動脈圧波形をカテ先マノメータ付きカテーテルで記録・解析しaugmentation indexを算出し比較・検討した.【結果】大動脈縮窄症・大動脈離断症術後患児の年齢は10.1 ± 4.8歳,術後9.0 ± 3.9年であった.同年齢の児と比較すると患児のaugmentation indexは31.6 ± 15.8%増加していた.この圧反射の増強は加齢とともに増加し,圧反射が最小になるべき10代後半には約40%の増加であった.これはおおよそ40歳相当のaugmentation indexであった.【結論】大動脈縮窄症・大動脈離断症術後患児の圧反射は亢進しており,その程度は加齢とともに増加する.正常では圧反射が最小となる10代後半における圧反射は40歳相当であった. |
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