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I-C-2 |
低酸素療法のための酸素濃度計および窒素空気ブレンダーの開発―安全な低酸素濃度ガス吸入療法のために― |
山梨大学医学部小児科
内藤 敦,杉山 央,星合美奈子,戸田孝子,中澤眞平 |
【背景】低酸素ガス吸入療法は肺血流量増加型先天性心疾患に伴う急性循環不全に対する有効な治療法である.しかし,その使用法は各施設によって差があることから効果および副作用に対する評価は不十分である.使用方法が統一されない理由として,適切な酸素濃度計と窒素空気ブレンダーが存在しないことが挙げられる.今回,サンユーテクノロジーと共同で臨床応用に耐え得る酸素濃度計と窒素空気ブレンダーを試作した.【結果】現在,一般的に使用されている医療用酸素濃度計は21%以上では信頼性があるものの,低酸素域では信頼性に欠ける.工業用では21%以下に対応しているものも存在するが,1%刻みのものが多く微妙な調節を要する低酸素療法では不十分である.試作した酸素濃度計(NAM-2000)は工業用モニターをベースとして低酸素領域でも0.1%以下の精度が確認されている.表示,アラーム設定とも0.1%ごとに調節可能であり,キャリブレーションも迅速かつ簡便である.一方,窒素空気ブレンダーは現在市販されていないため,鼻カニューラ,マスク,ヘッドボックスなどで低酸素療法を行う場合,純窒素を施設独自の方法で投与しており,その安全性には問題が残る.作成した窒素空気ブレンダー(NA-2000)では圧縮空気と窒素ボンベを用い,± 0.7%以下の精度のガスを必要量供給することができる.安全対策として空気供給低下に警報/シャットダウンシステム,相互ガス逆流防止弁を備えており,NAM-2000を併用し吸入酸素濃度をモニタリングすることにより安全に低酸素療法を行うことが可能である.【結語】低酸素ガス吸入療法をより安全で安定して行うために低酸素濃度計と窒素空気ブレンダーのシステムは有用である. |
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