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I-C-14 |
肺動脈拡張を呈した肺高血圧症例の臨床的特徴 |
東邦大学医療センター大森病院小児科
池原 聡,嶋田博光,高月晋一,中山智孝,松裏裕行,佐地 勉 |
【背景】特発性肺動脈高血圧症(以下IPAH)では近位部肺動脈が拡張し,瘤状に著しく拡張する症例も散見される.【目的】著しい肺動脈拡張を呈したIPAHの臨床的特徴を明らかにすること.【対象】1999年以降に当院を受診した18歳以下のIPAHで未治療または治療開始 3 カ月以内の30例.年齢は平均9.8歳(2.7~18.1歳),男16:女14.対照群は年齢・性別をマッチさせた血行動態に異常がない20例とした.【方法】胸部単純X線での左第 2 弓の最大突出部位から左主気管支の透亮像外側までの水平距離を主肺動脈径とした.これを胸郭幅で除した肺動脈胸郭比(PTR)を算出した.対照群のPTRのmean + SDを求め,+2SD以上を著しい拡張(A群),それ未満をB群と定義した.両群間で発症年齢,発症から初診までの期間,失神の有無,初診時のデータ(CTR,BNP,mPAP,Rp,Rp/Rs,O2負荷に対するmPAP)を比較した.さらに治療開始後 3 年におけるPTRおよび検査データを比較した.【結果】初診時のPTRは両群ともに15例であった.IPAHのPTRは対照群と比較して有意に大であった(p < 0.05).A群はB群に比べて初診時の発症年齢が若く(p < 0.05),CTRは大きく(p < 0.05),BNPは高値(p < 0.05)であった.発症から初診までの期間,失神の有無,血行動態には両群で差はなかった.治療開始後 3 年(A群 5 例,B群10例)での比較ではA群はB群に比しCTR改善率(p < 0.05)およびBNP改善率(p < 0.05)が有意に大であった(A群 3 例,B群 9 例).mPAP,Rp,Rp/Rsは両群間で差はなかった.BNPはA群全例で,B群では 7 例中 5 例で低下した.O2負荷で両群のmPAPに差はなかったが,B群ではO2負荷で初診時のmPAP(p < 0.01),3 年目のmPAP(p < 0.01),PA脈圧(p < 0.01)に低下がみられた.【結論】著しい肺動脈拡張を呈したIPAHの臨床的特徴は初診時の発症年齢が若く,重症である傾向を認めたが,CTR,BNPの改善は悪くないと思われる. |
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