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I-C-59 |
CHARGE症候群の心奇形とchromodomain helicase DNA-binding protein-7遺伝子変異の相関 |
東京都立清瀬小児病院循環器科
大木寛生,白石昌久,河野一樹,葭葉茂樹,三浦 大,佐藤正昭 |
【背景】染色体 8q12.1上のchromodomain helicase DNA-binding protein-7遺伝子(CHD7)の変異がCHARGE症候群の主要な原因であることが判明し,高率に合併する心奇形への関与が注目されている.【方法】CHD7変異陽性のCHARGE症候群17例(男 8 例,女 9 例,年齢 5 カ月~18歳,中央値 4 歳 8 カ月)を対象とし,心奇形とCHD7変異の相関について検討した.【結果】心奇形を13例(76%)に認め,種類は動脈管開存 8 例,心室中隔欠損 5 例,心房中隔欠損 3 例,大動脈弁狭窄 3 例,大動脈縮窄 2 例,大動脈離断 1 例,二尖大動脈弁 1 例,大動脈肺動脈窓 1 例,大血管転位 1 例,心内膜床欠損 1 例,エプスタイン奇形 1 例であった(重複あり).CHD7変異はエクソン 2 に 3 例,8,33に各 2 例,8~12,12,17,19,29,31,34に各 1 例,18,25,26のスプライス部位に各 1 例と遺伝子全体に散在し,フレームシフト変異 7 例,ナンセンス変異 6 例,スプライス部位変異 3 例,エクソン全欠失 1 例を認め,切断変異は 9 例(53%)であった.心奇形の有無,種類,重症度とCHD7変異との相関は明らかでなかった.【考察】CHD7はヌクレオソームリモデリングや転写調節に関わる遺伝子の一つで,心血管発生領域のパターン形成に関与する複数の遺伝子の機能に影響を与える可能性がある.CHD7変異は機能ドメイン(chromo,SNF2,helicase,BRK)だけでなく遺伝子全体に散在しており,心奇形において遺伝型・表現型の相関は明らかでなかったが,ほとんどが終止コドンあるいはフレームシフトをもたらす変異であったことから,CHD7ハプロ不全がCHARGE症候群の心奇形,特に円錐動脈管奇形に関与していることが示唆された.今後CHD7の転写調節機能の解明が必要である. |
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