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I-D-63 |
18トリソミー患者26例についての検討―心疾患に対する外科治療に関して― |
九州厚生年金病院小児循環器科1),九州厚生年金病院心臓血管外科2)
宗内 淳1),城尾邦隆1),弓削哲二1),渡辺まみ江1),山村健一郎1),井本 浩2),瀬瀬 顯2) |
【背景】18トリソミー患者は生命・神経発達予後の厳しさから積極的治療の対象外であったが,「重篤な疾患を持つ新生児に関するガイドライン」(田村ら,2004)を踏まえ治療方針も多様化してきた.【検討】1989年以降当院で経験した18トリソミー26例(モザイク 2 例含む)について検討した.出生週数28~42(平均34)週,出生時体重650~2,698(平均1,531)g,母年齢21~42(平均32)歳であった.10例(38%)で出生前に心奇形,小脳低形成,子宮内発育遅延から18トリソミーが疑われた(出生前羊水染色体検査確診 1 例のみ).全例が心奇形(心室中隔欠損21例,両大血管右室起始 3 例,房室中隔欠損 1 例,総動脈幹 1 例)を合併し,消化管奇形合併 6 例(23%:食道閉鎖 3 例,臍帯ヘルニア 2 例,横隔膜ヘルニア 1 例)であった.死亡22例(85%)は全例院内死亡であり,死亡日齢 0~196(日齢 1 以内:4 例,日齢 2~7:4 例,日齢 7~30:5 例,日齢31以上:9 例)であった.26例中 6 例(すべて心室中隔欠損)で家族の希望により心奇形に対し外科治療(心内修復 2 例,肺動脈絞扼術 4 例:手術時体重1.5~3.2kg:手術施行日齢14~295)を行い,うち 4 例は生存している.心内修復術施行 1 例は術前染色体検査未施行であった.心内修復術施行 2 例は 3 歳と17歳(モザイク)へ成長し,肺動脈絞扼術施行例中 1 例(モザイク)は 4 歳となり,つかまり立ち可能だが,それぞれ難治性痙攣(2 例),肝芽腫(2 例)などを併発している.また他 1 例は他院長期入院中(2 歳)である.残り 2 例は術後81日と 2 カ月で突然死した.【考察】手術関連死がない点では心奇形に関しての外科治療も十分考慮してよいと考えられたが,手術生存例はいずれもモザイク例や消化管奇形のない場合であった.また出生前両親が疾患について説明を受けたのは 6 例中 1 例のみであり家族の準備期間の必要性も示唆された.手術生存例も必ずしも順調な経過をたどっているとは言えず慎重な治療方針決定が望まれる. |
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