![]() ![]() |
I-E-5 |
エベロリムスを併用した心臓移植後の免疫抑制療法―mass spectroscopy(MS)法とfluorescence polarization immunoassay(FPIA)法による血中濃度の比較― |
北海道立小児総合保健センター循環器科1),札幌医科大学小児科2),札幌医科大学第二外科3)
富田 英1),横澤正人1),小林俊幸1),畠山欣也1),高室基樹2),堀田智仙2),高木伸之3),長谷川武生3),安倍十三夫3) |
【背景】エベロリムスはラパマイシンから誘導されたマクロライド系の新しい免疫抑制薬で,心臓移植後の免疫抑制療法における有用性が報告されている.Deutsches Herzzentrum Berlin(DHZB)にて心臓移植を受けた症例に対しエベロリムスを用いた免疫抑制療法を行い,MS法とFPIA法による血中濃度の対比を行う機会を得た.【対象と方法】DHZBで心臓移植を受けた13歳,男児.同院のプロトコールにしたがいシクロスポリン,エベロリムス,プレドニゾロンの 3 者併用による免疫抑制療法を受けて帰国.DHZBではシクロスポリン,エベロリムスの血中濃度をMS法で測定していたが,帰国後は,シクロスポリンはシクロスポリンダイナパック(ダイナボットCo.),エベロリムスはInnofuor Certican Assay System(Seradyn Inc.)によるFPIA法にて測定した.測定開始にあたり,同一検体を同じ条件に保存した後,DHZBと当院で血中濃度を測定し,両者の測定結果から回帰式を作成した.【結果】MS法とFPIA法はシクロスポリンではy = 0.79x - 11.99(r = 0.99,p < 0.01),エベロリムスではy = 0.85x - 2.17(r = 0.85,p < 0.01)とそれぞれ良好な正の相関を認めた.移植後 3 カ月までシクロスポリンはMS法に換算して180~200ng/ml,6 カ月までは135~180ng/mlのトラフ値を目標とし,3 カ月までは毎週,6 カ月までは 2 週に 1 回,血中濃度を測定し投与量を調節した.エベロリムスはMS法に換算して 3~8ng/mlのトラフ値を目標として同様に血中濃度を測定し投与量を調節した.両者とも帰国直後,自宅への退院後はトラフ値の変動があり投与量の調節を要したが,帰国後 1 カ月半ほど経過後はおおむね安定した.【考察】FPIA法による血中濃度はMS法に比し高めに出るものの,免疫抑制療法中のモニタリングには十分な精度と考えられた. |
![]() |
閉じる |