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I-F-13 |
大量免疫グロブリン療法不応例における川崎病患者末梢血CD25+ CD4+制御性T細胞の動態 |
九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野1),九州大学病院救急・集中治療部2)
池田和幸1),古野憲司1),山脇かおり1),金谷能明2),山口賢一郎1),大野拓郎1) |
【背景】CD25+ CD4+制御性T細胞(Treg)は,ヒトやマウスの末梢血CD4+T細胞中に 5~10%存在し,免疫学的自己寛容を維持する.またさまざまな感染微生物に対する免疫反応をも制御することが示されている.以前,われわれはTregが川崎病急性期に減少していることを報告した.【目的】川崎病の重症度とTregの関連を明らかにする.【方法】2002年 2 月~2005年12月に当院および福岡市立こども病院(研究代表:水野由美)に入院した川崎病患者51名を対象とした(中央値20カ月,男27,女24).末梢血中のCD25+ CD4+細胞数をフローサイトメーターを用いて測定し,1g/kgの初回免疫グロブリン療法(IVIG)が有効であった症例(44例)と 2 回以上必要であった症例(7 例)の間で比較した.初回IVIG不応例には,冠動脈の一過性拡大を呈した症例 1 例,小冠動脈瘤を残存した症例 1 例が含まれる.【結果】CD25+ CD4+細胞数と全リンパ球に占める割合は,治療開始前には有効例と不応例の間で差はなかった.初回IVIG有効例では,CD25+ CD4+細胞は,治療前に比較して治療後で有意に上昇し(中央値:49 vs 110/μl;p < 0.0001,1.58 vs 3.46%;p < 0.0001),以前の報告に一致した.初回IVIG不応例では,CD25+ CD4+細胞は治療前に比較し治療後で上昇するものの(中央値:66 vs 80/μl;p = 0.03,1.92 vs 2.84%;p = 0.03),その変化(治療後/治療前)はIVIG有効例に比較し有意に低かった(中央値:1.45 vs 2.38;p = 0.01).【考察】初回IVIG不応例ではCD25+ CD4+細胞増加が有効例に比べて有意に低いことが明らかとなった.Treg数の変化は治療反応性を反映していると考えられ,IVIGの効果判定にも使用できる可能性がある. |
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