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栃木県の学校心臓検診で不完全右脚ブロックを指摘された児童の病型―第 2 報―
済生会宇都宮病院小児科1),済生会宇都宮病院心臓血管外科2)
高橋 努1),加島一郎2),井原正博1)

【背景】栃木県では小,中,高等学校の各 1 年生および,小学校 4 年生に心臓検診が実施されている.われわれは昨年の本学会で,学校心臓検診で不完全右脚ブロック(以下IRBBB)をスクリーニングすることの有用性を発表した.【目的】昨年から 1 年間に新たに学校心臓検診でIRBBBを指摘され,当院小児科を受診した小学校 1,4 年生,中学校 1 年生の最終診断,特に心房中隔欠損症(以下ASD)と診断され,手術が施行された児童の割合について検討した.【対象】学校心臓検診の二次検診でIRBBBを指摘され,2005年度に当院小児科を受診した児童.【方法】全員に胸部X線,心電図,心エコーを施行し,最終診断をつけた.【結果】94名に胸部X線,心電図,心エコーを施行した.4 名(4.3%)がASDと診断された.1 名(1.1%)に心臓カテーテル検査が施行され,直接閉鎖術が施行された.1 名(1.1%)は心臓カテーテル検査待ち,2 名(2.1%)は経過観察中である.4 名中 3 名は,心音図で 2 音分裂,心電図上V3,V4 の陰性T波を認めたが,孤立性陰性T波は認めなかった.ASDを認めなかった90名のうち 8 名(8.5%)にIRBBB以外の心電図異常(完全右脚ブロック,心室性期外収縮,房室ブロック,左軸偏位,QT延長),10名(10.6%)に心エコー上の所見(三尖弁閉鎖不全,僧帽弁閉鎖不全,心筋肥厚)を認めた.【考察】学校心臓検診においてIRBBBでスクリーニングされる児童のなかに,ある一定の割合で,手術が必要なASDと診断される児童がいる.学校心臓検診でIRBBBをスクリ-ニングする有用性を再確認すると同時に,心音図,V3,V4 のT波の形態を合わせることで,より正確なスクリーニングが可能と考えられる.

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