I-P-10
専門医療機関における学校心臓検診要追加検診(3 次検診)対象者の実態
近畿大学医学部小児科
篠原 徹,三宅俊治,橋本 恵,竹村 司

【緒言】学校心臓検診の重要性は論をまたない.昨年度の本学会においてもST-T部分の異常のため要追加検診対象者となった児の実態について報告した.今回は25年間にわたる要追加検診対象者の全体像を明らかにする.【目的】要追加検診対象者として紹介された児童/生徒の実態を明らかにし,今後の検診事業のあり方を考える.【対象と方法】(1)1980年 4 月~2005年12月の25年間に筆頭演者の初診外来を受診した6,271例中,学校心臓検診における要追加検診児として紹介された1,492例(高校生を含む)を対象とした.(2)心エコー検査をすべての児に,胸部X線,心電図(負荷を含む)をおよそ90%の児に実施した.(3)一部の症例は24時間心電図,トレッドミル負荷,心筋シンチ,心カテ・心血管造影を追加した.【結果】(1)紹介理由は,心電図異常,異常心音/心雑音,川崎病既往,動悸や胸痛などの自覚症状,先天性心疾患のドロップアウトの 5 つに大別された.(2)年代とともに抽出される児に変化がみられた.当初多かった川崎病既往児はほとんどなくなり,QT延長やブルガダ心電図を抽出理由とする児が増加した.(3)最も多い心電図異常は期外収縮であり,脚ブロック,左軸偏位,WPWがそれに続いた.(4)外科治療を要する先天性心疾患の新たな発見は30例あり,その大部分が心房中隔欠損であったが,ファロー四徴(1 例),大動脈縮窄(2 例),大動脈/肺動脈開窓(1 例)のような特殊例も存在した.(5)不完全右脚ブロックで受診した児のおよそ10%にあたる22例が心房中隔欠損であった.(6)学校保健上問題となる心筋症は 6 例(肥大型:3 例,拡張型:3 例)発見された.(7)全経過を通じて学校管理下の死亡は 1 例(WPW)であった.【考察】初診患児のおよそ 4 分の 1 を要追加検診児が占め,時期によっては外来診療体制の負担はかなりのものとなる.多くがE可~管理不要児であるが,現システムを踏襲し紹介児に対しては手を抜かない対応をすることが重要である.

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