I-P-13
地域の中核病院における心疾患の緊急ヘリコプター搬送例
高知県立幡多けんみん病院小児科
山本雅樹,玉城 渉

【はじめに】当院は高知県西部に位置する小児対象人口約 1 万人の中核病院である.そのため頻度は少ないものの,危機的心疾患患者に対して緊急カテーテル治療や外科的治療などが必要となる場合もある.しかし,これら危機的心疾患に対応が可能な医療機関までの最短搬送距離は約130kmで陸路で約 2 時間を要する.したがって,緊急搬送が必要な場合や長時間の搬送時間に負担がかかることが予想される場合は,ヘリコプターによる搬送を選択している.【対象・方法】開院以来過去 7 年間に当院で経験した危機的心疾患患者について後方視的に検討した.【結果】7 年間で13例の搬送例があり,そのうちヘリコプター搬送が11例を占めた.症例は2000年,(1)動脈管開存,心不全.2001年,(2)超低出生体重児,動脈管開存,心不全,(3)拡張型心筋症,心不全.2003年,(4)心室中隔欠損,心房中隔欠損,動脈管開存,心不全,(5)劇症型心筋炎,心不全,(6)重症大動脈弁狭窄.2004年,(7)単心室,肺動脈閉鎖,(8)重症肺動脈弁狭窄,右心室低形成.2005年,(9)心室中隔欠損,肺動脈閉鎖,(10)心室中隔欠損,肺動脈閉鎖,(11)発作性上室性頻拍(抗不整脈薬抵抗性).全例当院での内科的管理不可能症例であったため搬送の適応があった.近年は緊急カテーテル治療や外科的治療が必要な症例が多く,ほとんど早期の搬送を要した.搬送方法は,2000年度以来ヘリコプター搬送を利用しており,短時間の搬送が可能となり,早急な専門施設での治療が可能となった.しかし,その搬送時期については,状態の安定した時期を選択すべき症例もあった.【結語】ヘリコプター搬送は,危機的心疾患患者の搬送には積極的に選択すべきと考えられるが,当院のような小児科医師数が少ない地方中核病院でも,専門的知識や技術を要する危機的心疾患への対応が円滑に進められるような体制の整備が望まれる.

閉じる