I-P-15
重症心身障害児における心電学的特徴
富山大学医学部小児科1),富山市民病院2),長岡療育園3)
廣野恵一1,2),小西 徹3),市田蕗子1)

【目的】重症心身障害児者における心電学的異常を調査し,その特徴を明らかにする.【対象】重症心身障害児者120人(男59人,女61人),年齢は 1~72歳(中央値36歳),肢体不自由と知能障害の程度により分類される大島分類では 1 が48例,2 が36例,3 が 8 例,4 が 8 例,5 以上が24例であり,疾患別では周産期障害が39例,脳炎脳症後遺症が25例,染色体異常が12例,皮質形成異常が 7 例,脳血管障害が 3 例,てんかんが 3 例,原因不明が18例であり,筋の変性疾患例は認めなかった.【結果】心電図は120例の記録を得て,104例(87%)に異常所見を見た.胸部誘導でのR波の増高不良を81例(68%)に,四肢誘導ならびに胸部誘導の低電位を15例(12%)に認めた.また左軸偏位を 9 例,完全左脚ブロックを 6 例,不完全右脚ブロックを 4 例,心室性期外収縮を 4 例,T波の平低を 4 例,完全右脚ブロックを 2 例,WPW症候群を 2 例,LGL症候群を 2 例,右室負荷を 1 例,左房負荷を 1 例,左脚前枝ブロックを 1 例,左脚後枝ブロックを 1 例に認めた.またR波の増高不良および低電位は大島分類で重症度の高い症例に有意に多く認められた.【結論】重症心身障害児者においては,心電図異常が高頻度に認められた.心電図での胸部誘導でのR波の増高不良および低電位が特徴的であり,障害の重症度と相関がみられた.

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