I-P-16
Fontan術後の修正大血管転位に合併した妊娠中期の心房頻拍に対しアブレーションを施行し出産を経験した成人例
東邦大学医療センター大橋病院循環器内科1),東邦大学医療センター大森病院小児科2),東邦大学医療センター大森病院胸部外科3),横浜市立大学附属病院胸部外科4)
佐藤香織1),嶋田博光2),高月晋一2),中山智孝2),松裏裕行2),佐地 勉2),杉  薫1),吉原克則3),高梨吉則4)

妊娠中期に心房頻拍(AT)を発症したFontan術後の修正大血管転位(cTGA)に対して,妊娠の継続,胎児の発育,母親の心機能維持などを考慮し,カテーテルアブレーションを選択した.胎児に影響を及ぼさないよう被曝量を予測しATを根治し得た症例を経験したので報告する.症例は33歳女性.cTGA + VSD + ASD + PSに対して,18歳時にFontan術を施行.妊娠16週時に動悸発作が出現し,種々の抗不整脈薬を処方されたが完全に停止せず,妊娠18週に入院.心房頻拍が疑われた.胎児に対する影響を考慮し放射線量を極度に減少させ10極のカテーテルを右心房中隔と側壁に,さらに20極のカテーテルを右心房内に留置し,最早期興奮部位をマッピングした.その結果,右心房開心部のパッチ縫合部付近に最早期興奮部位が認められた.通電により頻拍は停止し,いかなる刺激でも誘発されなかった.被曝量は1.32μSvと極めて微量であり胎児への影響は無視できる範囲であった.在胎36週 4 日に体重2,097gの児を帝切にて無事に出産した.妊娠中のアブレーションの選択,心機能管理,出産への準備について考察する.

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