I-P-18
右冠動脈低形成例に回旋枝末梢の冠動脈瘤を生じた川崎病の 2 例
社会保険紀南病院小児科1),和歌山県立医科大学小児科2),榊原記念病院循環器小児科3)
南 孝臣1),鈴木啓之2),武内 崇2),渋田昌一2),末永智浩3),吉川徳茂2)

川崎病において,回旋枝末梢に冠動脈瘤を形成することは少ないとされる.今回われわれは,右冠動脈が低形成であった例に回旋枝末梢の冠動脈瘤を合併した,まれな 2 症例を経験したので報告する.【症例 1】1 歳 7 カ月,男児.生後 8 カ月に川崎病に罹患.川崎病主要症状 6/6,アスピリン50mg/kg/dayとガンマグロブリン 1g/kg × 2 日間投与したが解熱せず.1g/kg × 1 日間の追加投与を行い,第 7 病日からウリナスタチン5,000IU/kg × 4~6 回/日を併用したが発熱は13日間持続し,心エコーで,第22病日に回旋枝末梢にφ3.5mmの小瘤を認めた.第54病日に施行した心臓カテーテル検査で回旋枝末梢に小瘤が残存,右冠動脈は低形成であった.【症例 2】14歳男児.生後 4 カ月に川崎病に罹患.川崎病主要症状 5/6,近医にて,アスピリン30mg/kg/dayとガンマグロブリン400mg/kg × 5 日間投与されたが解熱せず.トータル 4g/kgのガンマグロブリンを投与された.経過中,右冠動脈に小瘤,回旋枝末梢に巨大瘤を形成し,ヘパリン15IU/hrの点滴静注施行.発症 3 カ月に和歌山医科大学に転院.心臓カテーテル検査で回旋枝末梢に巨大瘤を認めた.右冠動脈は低形成で起始部に小瘤を形成していた.【考察および結果】回旋枝末梢の冠動脈瘤形成の頻度は少ないが,今回の 2 症例とも右冠動脈の低形成を合併していた.このことから,右冠動脈の低形成による左冠動脈および回旋枝の血流の増加と回旋枝末梢の瘤形成との関連が示唆された.

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