I-P-22
免疫グロブリン療法不応の川崎病に対するステロイドパルス後プレドニゾロン経口投与療法の検討
東京都立清瀬小児病院循環器科
河野一樹,大木寛生,葭葉茂樹,三浦 大,佐藤正昭

【背景】免疫グロブリン療法(IVIG)不応の川崎病に対しステロイドパルス療法(IVMP)を行うと速やかに解熱するが,終了後に発熱が再燃する場合がある.当院で2001年 1 月~2003年 6 月にIVIG不応の川崎病13例にIVMPで加療した際,全例解熱したが,終了直後 4 例に発熱の再燃が認められ,このうち 3 例に冠動脈病変を生じた.そこで,発熱の再燃を防止するため,IVMPの後療法としてプレドニゾロン(PSL)を経口投与する方針とした.【対象・方法】2003年 7 月~2005年12月,病初期より当院に入院した川崎病患児223例をIVIG(2g/kg/24hrs)で治療し,不応の43例に同量のIVIGを追加した.IVIG追加にも不応の13例(男 8 例,女 5 例;月齢 2~103カ月,中央値52カ月)にIVMP(メチルプレドニゾロン30mg/kg/day,3 日間)を行った後,PSLを経口投与(1mg/kg/dayを 1 週間,以後 1 週間で漸減中止)し,その臨床経過を検討した.【成績】全例,IVMP開始日(8~13病日,中央値 9 病日)に解熱した.IVMP終了後,全例30病日以内に発熱の再燃を認めなかったが,1 例(7%)のみ33病日に(PSL中止後 8 日目)に発熱が出現した(3 回目のIVIGで加療).IVMP後のCRP値はIVMP前に比し,全例低下(平均 ± 標準偏差;8.9 ± 6.0→1.8 ± 1.3mg/dl,p = 0.01)し,12~17病日(中央値16)に低下した.心エコー上の冠動脈所見では発熱が再燃しなかった12例はいずれも正常で,33病日に発熱が再燃した 1 例のみに瘤(最大径4.1mm)を生じた.高血圧,消化管出血,感染症の悪化など,PSLによる重篤な副作用は認めなかった.【結論】IVIG追加にも不応の重症川崎病に対する,IVMP後のPSL経口投与は,発熱の再燃防止に有用で冠動脈病変を抑制し得ると考えられた.

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