I-P-24
川崎病の急性心筋梗塞 2 例におけるmodified tPAの治療効果
千葉大学大学院医学研究院小児病態学
安川久美,本田隆文,遠山貴子,東 浩二,江畑亮太,寺井 勝

川崎病の急性心筋梗塞(AMI)におけるmodified tissue plasminogen activator(tPA)静脈内投与(27,500U/kg)の治療効果を検討する.【症例 1】3 カ月女児.IVIG 4g/kg,PSL 2mg/kg/day使用,両側巨大冠動脈瘤を残した.ASA,ヘパリン30U/kg/h使用.44病日にAMI発症(不機嫌,トロポニンT 1.4ng/ml,ECG:V1~5 のQS型,V3~5 のST上昇,心エコー:LAD内血栓閉塞),tPAを静脈内投与,翌日よりウロキナーゼを使用した.出血など合併症はなかった.AMI発症 2 週後,ECGは冠性T波出現し正常化,心エコー上EF 20%台から50%台へ改善,7 週後の心臓カテーテル検査にて心機能正常,#6 の血栓内再疎通を確認した.22週後の現在ワーファリン内服にて元気に外来通院中である.【症例 2】3 カ月男児.IVIG 6g/kg,PSL 2mg/kg/day使用,両側巨大冠動脈瘤を残した.ASA,ヘパリン30U/kg/hを使用.27病日にRCA内壁在血栓に対しtPA静脈内投与,34病日にAMI発症(トロポニンT 0.13,ECG:2・3・aVFのdeep Q,心エコー:RCA内血栓閉塞),tPAを 2 日連続投与,合併症なくその後アルガトロバンを使用した.AMI発症 2 週後,ECGのdeep Q軽度改善,心エコー上EF軽度低下と運動時頻脈が続いた.経過中LCA内にも血栓認め,tPAを数回投与しAMIの再発はない.6 週後の心臓カテーテル検査にて,心機能正常,RCA末梢閉塞を確認した.19週後の現在運動時頻脈は改善,ワーファリン内服にて退院準備中である.【考察】2 例の川崎病のAMI治療にフィブリン親和性のtPA静脈内投与は有効と思われた.抗凝固・血小板・血栓薬を併用したが合併症なく安全に使用できた.tPA静脈内投与の有効性の検討には今後のさらなる使用経験が必要である.

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