I-P-37
Fontan術後の中長期的予後と問題点
静岡県立こども病院循環器科1),静岡県立こども病院心臓血管外科2)
満下紀恵1),古田千左子1),原 茂登1),伴由布子1),金 成海1),田中靖彦1),小野安生1),坂本喜三郎2)

【背景】Fontan術(F術)は,単室系の心疾患患者の治療最終目標とされているが,その特異な循環動態により,術後も血栓症,不整脈,心機能低下,肝機能障害,蛋白漏出性胃腸症などの合併症に留意しなければならない.【目的】当院でのF術施行例の中期から長期予後について検討すること.また,問題を抱えている症例においての適応についても検討する.【対象】2005年12月までに,F手術施行後 5 年以上経過している症例82例中,術後早期死亡,病院死亡の11例を除く71例.F術施行年齢4.5カ月~21歳.最長術後経過観察年数21年.【結果】71例中,TA 14例,asplenia 15例,polysplenia 4 例,PAIVS 4 例,SRV 11例,SLV 10例,その他 11例だった.術式は,APC 7 例,lateral tunnel 15例,IVC-PA graft吻合 46例,IVC-PA direct吻合 3 例だった.遠隔期死亡は 5 例で原因は,不整脈 2 例,PAVF 1 例,突然死 1 例,交通事故 1 例だった.F術後のインターベンションは,TCPC conversionが 5 例,遺残短絡閉鎖が 4 例,PM植込みが 3 例.PAVFに対しcoil塞栓したものが 2 例,喀血に対しTAEしたもの 2 例,VV shuntのcoil塞栓が 2 例,TV形成が 2 例あった.PLE発症は 1 例のみだった.術後心カテにおける平均CVPは11mmHgであったが,16mmHg以上が 4 例あり,いずれも不整脈,静脈血栓,VV shuntによるチアノーゼの悪化,心収縮の低下があり,TCPC conversionやcoil embolizationなどを施行されていた.NYHA分類ではCVPの高い症例も含め生存例はすべて I,II であった.

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