I-P-38
当院におけるFontan型手術症例の術後中長期遠隔成績の検討
長野県立こども病院心臓血管外科1),長野県立こども病院循環器科2)
阿知和郁也1),原田順和1),打田俊司1),内藤祐次1),岡本祐樹1),里見元義2),安河内聰2),松井彦郎2),長谷山圭司2),西澤 崇2),金子幸栄2)

【目的】Fontan型手術は近年長期生存例も多くなったが,遠隔期にはその合併症が問題となる.そこで当院におけるFontan型手術症例の術後中長期遠隔成績を検討した.【対象】当院で1993~2000年にFontan型手術を施行した31例中,術後 5 年以上経過した29例.手術時平均年齢3.5 ± 1.8(0.9~9.3)歳,平均体重13.4 ± 4.2(8.9~29.9)kg.内訳はDORV 7,PA/IVS 1,TA 6,AVSD 3,SRV 5,SLV 3,HLHS 3,TGA 2,Ebstein 1,heterotaxiaは10(無脾 8,多脾 2).平均観察期間は8.6 ± 2.5(5.3~12.3)年.術式はlateral tunnel(LT)15,心耳肺動脈吻合(RA-PA)4,extracardiac TCPC(EC)10(心外導管 9,IVC-PA anastomosis 1)であり,LTまたはRA-PA施行の19例(N群)とEC施行の10例(E群)につき,両群間の術後中長期遠隔成績を比較検討した.【結果】上室性不整脈を生じた症例はN群 1(5.3%),E群 1(10%).トレッドミルテストによる運動耐容能はN群9.5 ± 2.2METS,E群10.0 ± 0.76METSと,両群に大きな差は認められなかったが,外来でのSpO2が90%以下の症例は,N群 7(37%),E群 2(20%)で,N群に多い傾向にあった.主原因は,N群:LTからのleakage 5,fenestration 1,心房間R-L shunt 1,E群:collateral(to CA)1,PAVF 1であり,leakage 5 例中 4 例は再手術を行った.再手術症例はextracardiac TCPC conversion 5(N群 5)であり,5 年再手術回避率はN群:94.7 ± 5.1%,E群100%であった.【結語】上室性不整脈および運動強度でみると現時点で両群に大きな差はなかった.しかし,術後SpO2が90%以下となる症例はN群で多い傾向にあり,再手術回避率もN群で低い傾向にあった.今後観察期間を長くし,さらなる十分な経過を追う必要がある.

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