I-P-40
超音波非侵襲心拍出量モニター(USCOM)の小児領域での有用性
埼玉県立小児医療センター循環器科
平田陽一郎,金沢貴保,齋藤亮太,菱谷 隆,星野健司,小川 潔

【目的】超音波非侵襲心拍出量モニターUSCOM(以下USCOM)は成人領域においてはすでに広く使用されているが,小児領域での有用性を検討することを目的として研究を行った.【対象と方法】2005年12月~2006年 1 月において,当施設で心臓カテーテル検査を行った患者のうち,Fick法および熱希釈法による心拍出量(以下CO)を測定した15人の患者を対象に,USCOMのデータと比較した.また集中治療管理中の患者 2 例を対象として,同一検者での再現性および異なる検者間でのばらつきについても検討した.【結果】(1)同一患者において50回の連続した測定を行い,検査結果は十分に再現性があると考えられた.(2)3 人の異なる検査者による検査結果を比較したところ,十分に検査方法に慣れた後には安定した結果が得られた.(3)15人のカテーテル検査患者は平均月例53.1カ月(0~186)で,VSD・ASD・TOFなどの心内短絡が残存しているもの 6 例,心内修復術後や原発性肺高血圧など心内短絡のないもの 7 例,大動脈弁置換術後と大動脈弁狭窄症がそれぞれ 1 例だった.心カテでのCOデータ,およびカテ前の経胸壁心エコー検査から推定されるCOとUSCOMのCOとの間ではいずれもp = 0.11,0.13と統計学的には相関が認められなかった.【考察】USCOMを使用して,小児科患者でもCOを簡便に測定することが可能であった.しかしその絶対値はカテーテル検査のデータとは乖離していることも少なくなかった.これは大動脈弁輪径の大小や狭窄・逆流,あるいは心内短絡などによる誤差など小児領域特有の問題が原因と考えられた.しかし短時間で簡便にCOを測定できるため,集中治療管理中の患者などの経時的変化を判断する場合などには有用な検査ツールであると考えられた.

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