I-P-41
経胸壁三次元エコーを用いた左室容量解析―左室造影との比較―
国立循環器病センター小児科
新居正基,黒嵜健一,渡部珠生,越後茂之

【背景】正確な左室容量計測はある種の先天性心疾患においてbiventricular repairかFontan-trackかの治療方針を決めるうえで重要である.また,ファロー四徴においても,根治手術時期を決定するうえで重要な指標の一つである.従来の心エコー検査においてはM-modeによる左室内径の計測により,左室容量を推定していたが,右室容量負荷,圧負荷等が認められる場合には左室の変形によりその計測に誤差を来すことが知られている.【目的】経胸壁三次元エコー(以下 3DE)は,左室形態を忠実に再現することが可能であることから,左室容量を従来の一次元計測であるM-modeよりもより正確に計測できると考えられる.【方法】超音波診断装置IE-33(PHILIPS)および 3D Matrix-array transducerを用いて,心尖部よりfull-volumeのデータ記録を行い,off-lineにて三次元容量解析ソフトQLAB(PHILIPS)を用いて左室容量の解析を行った.golden-standardとして,造影にて計測された左室容量を使用した.【結果】先天性心疾患患者10例(ASD 5,TF 1,ほか 4)(年齢;3 カ月~26歳;中央値11歳)において左室容量計測を 3DEおよび造影にて行った.2 種類のmodalityによる計測はすべて24時間以内に施行した.左室拡張末期容積:M-mode(相関係数r = 0.88);3DE(r = 0.77);左室収縮末期容積:M-mode(r = 0.54);3DE(r = 0.58).また,エコーでの容量計測はいずれの方法においても造影での計測よりも有意に約30%過小評価した.【考察】3DEでの容量解析は造影での計測と良好な相関を示した.特に,右室圧負荷等にて左室の変形が強くなる収縮末期での計測はM-modeよりも良好な相関を示した.

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