I-P-51
当科フォロー中の先天性心疾患児におけるパリビズマブの使用経験
済生会宇都宮病院小児科
高橋 努,井原正博

【背景】先天性心疾患児を有する乳幼児ではRSウイルス感染を予防または軽減することが管理上重要である.昨秋の先天性心疾患児におけるパリビズマブの使用に関するガイドライン発表後,当科においても投与を開始した.【目的】当科フォロー中の先天性心疾患児におけるパリビズマブ投与の効果を検討する.【対象】2002年10月 1 日~2005年 3 月31日に出生し,当科フォロー中の先天性心疾患児(4mm以下の心房中隔欠損症は含めない)の2005年 3 月31日の時点でのRSウイルス罹患状況(承認前:非投与群)と,2005年10月以降,当科でパリビズマブ投与を施行した先天性心疾患児(承認後:投与群)のRSウイルス罹患状況を比較検討した.投与対象者はガイドラインの基準を満たす者とした.今回,体肺短絡性疾患でメ明らかに循環動態の異常を示すモ状態は,少なくとも利尿剤などの内服を行っている状態とした.投与にあたり,全員に十分なインフォームドコンセントを行い,承諾を得た.【結果】非投与群は243名であり,62人が投与適応に相当した.うち,8 名がRSに罹患し,4 名が入院加療となり残り 4 名は入院中の罹患であった.2 名が従来の適応基準により投与され,うち 1 名が投与前に罹患した.投与群は20名であり,副作用は認めなかった.うち 2 名が罹患し,1 名が入院加療となり,酸素投与を要した.【考察】非投与群の罹患者は全員入院加療を要した.投与群の罹患者は少ないものの,外来通院可能な児もあった.パリビズマブによる重症化抑制,入院回避の効果が期待できる可能性が示唆された.

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