I-P-53
敗血症を発症した小児心疾患に対するCHDF + PMX療法の検討
長野県立こども病院循環器科1),長野県立こども病院心臓血管外科2)
平井克樹1),里見元義1),安河内聰1),松井彦郎1),長谷山圭司1),西澤 崇1),金子幸栄1),原田順和2),打田俊司2),内藤祐次2)

【背景】小児心疾患患者は一度敗血症を生じると,その血行動態のため重症化しやすい.【目的】敗血症を発症した小児心疾患患者に対する持続血液透析濾過療法(以下CHDF)+ エンドトキシン吸着カラム(以下PMX)療法の有用性と問題点について後方視的に検討する.【定義】血液培養結果に関係なく感染の結果,全身性炎症反応症候群(以下SIRS)を生じたものを敗血症とした.【対象】2004~2005年に経験した 5 例.基礎疾患は,TGA 2 型,TOF,PPA,cECD,IE(+ AR)で術後急性期発症が 3 例.起因菌はP. aeruginosa 2,E. coli 1,K. pneumoniae 1,S. aureus 1であった.3 例が敗血症性ショックを生じた.【方法】PMX前(1 回目)とPMX後(2 回目)のWBC,血小板,CRP,収縮期血圧,カテコラミン・インデックス(以下CAI),尿量,P/F ratio,PELOD(pediatric logistic organ dysfunction)scoreを比較した.【結果】CHDF + PMXに起因する有害事象は認められなかった.最終転帰は 3 例生存,2 例死亡(1 例は原疾患による心不全死).生存 3 例中 2 例は術後急性期の感染であった.PMX前後で収縮期血圧に有意な上昇(前56.4 ± 16mmHg,後84.8 ± 21mmHg,p = 0.046)がありCAIには死亡例を除くと低下傾向がみられた.PELOD scoreは前14.4 ± 15.8,後3.8 ± 4.1,CRPは前13.7 ± 14.8mg/dl,後12.2 ± 7.3mg/dlであり,施行前後で明らかな臓器不全の進行,CRPの低下はなかった.その他項目には有意差は認められなかった.【結論】CHDF + PMXは心臓手術後急性期の敗血症性ショックに対しても血行動態の増悪を生じることなく安全に施行でき全身状態の安定化に有効である可能性がある.

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