I-P-58
肺血流シンチグラムおよびVEC-MRIを用いた肺動脈性肺高血圧に対するbosentan治療効果の定量的評価
旭川医科大学小児科
杉本昌也,中右弘一,真鍋博美,津田尚也,梶野浩樹,藤枝憲二

【はじめに】今回われわれは肺動脈性肺高血圧(PH)患者 3 例にbosentanを投与しその有用性と治療効果を明らかにすることを試みたので報告する.【対象】〈症例 1〉混合性結合組織病にPHを合併した13歳女児で,sildenafilの内服を開始しPHは改善したが,bosentanへの変更を試みた.〈症例 2〉16歳男児.3 歳時に診断されたVSD,PHで,手術を施行されたがPHは残存したままであった.〈症例 3〉VSD,Eisenmenger症候群と10歳時に診断された21歳女性.3 例の治療開始前心臓カテーテル検査によるPA収縮期圧はそれぞれ69,101,94mmHgであった.Pp/Psは0.57,0.83,1.06,RpIは8.1,16.9,13.8Um2であった.【方法】bosentan投与前にNYHA心機能分類,6 分間歩行距離,定量的肺血流シンチグラム,VEC-MRIを施行し,内服 4 カ月後に再評価し比較検討した.【結果】bosentanは62.5mg分 2 から開始,1 カ月後に125mg分 2 に増量した.特記すべき副作用は認めなかった.内服開始前後のNYHA心機能分類では 1 例に改善を認め,6 分間歩行距離は全例で改善がみられた(20.8~49.4m増加).肺血流シンチで測定した全肺血流量は全例で改善していた(0.2~1.53l/min/m2増加).VEC-MRIで測定した全肺拍出量は測定のできた 2 例とも改善がみられた(0.42~1.6l/min/m2増加).【結語】PHに対するbosentan治療は有効である.自覚症状には改善がなくとも非侵襲的な定量評価をすることで鋭敏に効果を判定可能である.

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