I-P-59
肺動脈性高血圧症におけるボセンタン治療の急性効果および短期効果
東邦大学医療センター大森病院小児科
嶋田博光,中山智孝,直井和之,池原 聡,高月晋一,松裏裕行,佐地 勉

【目的】肺動脈高血圧症(PAH)患者におけるボセンタン(Bos)の急性反応および短期効果を検討すること.【対象・方法】対象は2005年 6 月以降にBosを開始したPAH患者13例(男 5,女 8,年齢 8~53歳).疾患は特発性 8 例,CHD 4 例,強皮症 1 例.開始時NYHAクラスはII:3 例,III:9 例,IV:1 例である.併用治療は経口PGI2:8 例,PGI2持続静注:5 例,経口sildenafil(Sil):9 例.観察期間は 0~7 カ月.急性反応はBos内服 3 時間後の心拍数・血圧,エコー所見,開始早期の 6 分間歩行テスト(6MWT)を検討.短期効果は開始 3 カ月後に評価.2 群間の比較はt検定および一元配置分散分析を用いた.【結果】急性反応の結果,脈拍:76.6 ± 10.9→81 ± 9.5bpm,血圧:103.3 ± 10.6→105.6 ± 9.5mmHg.エコー所見は,LVDd:40.1 ± 1.1→41.0 ± 1.2mm,TRPG:93.2 ± 16.2→91.6 ± 17.9mmHg,ACT/ET:0.29 ± 0.07→0.28 ± 0.07,RV TEI index:0.76 ± 0.35→0.71 ± 0.32,LV TEI index:0.58 ± 0.19→0.47 ± 0.23,E/A:1.16 ± 0.46→1.13 ± 0.34.6MWTは411 ± 121→461 ± 96mでいずれも有意差なし.短期効果として,観察 3 カ月の時点で10例中改善:3 例,不変:5 例,BNP上昇による投与中止:2 例.改善例の 2/3 例はSil併用なし.中止例を改善例,不変例と比較すると,Sil投与量が多く(1.0 ± 0.4 vs 0.5 ± 0.4mg/kg:p = 0.14),重症(RV TEI index 1.30 ± 0.18 vs 0.71 ± 0.24:p = 0.01,LV TEI index 0.78 ± 0.10 vs 0.50 ± 0.19:p = 0.09,Rp 32.1 ± 8.5 vs 20.3 ± 9.7:0.20)であった.【結論】Bosの急性反応は明らかな有意差を認めなかった.8 割の患者で増悪なく投与継続が可能であったが,高用量のSilを必要とする患者では慎重に観察すべきである.

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