I-P-66
学校検診でみつかった不整脈原性右室異形成症(ARVD)の 2 例
大垣市民病院小児循環器新生児科
西原栄起,倉石建治,田内宣生

【はじめに】不整脈原性右室異形成症(ARVD)はまれな疾患であるが,若年者において突然死の原因となる疾患である.今回われわれは,学校心臓検診で心室期外収縮を指摘され,経過観察中にARVDが疑われた 2 例を経験したので報告する.【症例 1】中学 1 年の学校検診でSVPC,VPC指摘され当科受診.運動負荷心電図上,右室流出路起源主体の多源性のVPCで,運動負荷でもVPC消失しなかったが,心エコー上右室拡大はなかった.その後運動制限せず無投薬で経過観察していた.初診から 1 年 7 カ月後,心エコー上右室拡大,心室壁運動の低下認めARVD疑われた.Holter心電図で右室由来の多源性VPC認めるもVTはなく,現在強心剤,βブロッカー,ACE-I内服で経過観察中である.【症例 2】小学 4 年の学校検診でSVPC,VPC指摘され当科受診.心エコーで右室拡大,心室壁運動の低下なし.運動負荷心電図で不整脈なく,Holter心電図でも右室由来の多源性VPC散発のみであった.その後来院せず.中学 1 年の学校検診でCRBBB指摘され当科再受診.心電図上右室起源の多源性VPC,Holter心電図でVT(最大 4 連発),R on T,心エコー上右室拡大,心室壁運動の低下認め,ARVD疑われた.現在運動制限を行い,βブロッカー内服で経過観察中である.【考察とまとめ】右室起源のVPC(特に上方軸)はARVDに注意して繰り返し心エコー等で経過観察することが肝要であり,また学校心臓検診はARVDの早期発見に寄与しうると考えられた.

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