I-P-74
胆道閉鎖症術後の続発性肺血管異常の検討
群馬県立小児医療センター循環器科1),群馬大学小児生体防御学2),しのはら小児科3)
小林富男1),下山伸哉1),鈴木尊裕1),小林 徹2),篠原 真3)

【はじめに】胆道閉鎖症術後には原因不明の肺毛細血管拡張による肺内シャント(hepatopulmonary syndrome:HPS)やporto-pulmonary hypertension(PPH)などの肺血管異常を合併することがあり予後をいっそう不良にしている.【目的】胆道閉鎖症術後に肺血管異常を合併した症例の経過や予後を検討すること.【対象】胆道閉鎖症術後症例で当センターにてfollow-upしている43例中,肺血管異常を合併した 6 例.【結果】肺血管異常の内訳は,HPS:4 例,PPH:1 例,HPSとPPH合併:1 例である.現在の年齢は 5 歳 6 カ月~21歳で,肺血管異常が判明した年齢は 4 歳 5 カ月~18歳である.肺血管異常発見の契機と年齢は,全身浮腫:1 例(18歳:PPH),SpO2低下:1 例(12歳:HPS),チアノーゼ:2 例(4 歳 5 カ月:HPS,6 歳:HPS),肺血流シンチの異常:2 例(5 歳:HPS,8 歳 9 カ月:HPS + PPH)であった.HPSの 4 例中 3 例に肝移植を施行し(移植施行年齢:4 歳 5 カ月:生存,13歳:生存,5 歳 6 カ月:移植関連死),1 例が移植不適応として保存的治療中に10歳で消化管出血により死亡した.HPS + PPHの 1 例(20歳)は高度肺高血圧症のため移植不適応として保存的治療中,PPHの 1 例(21歳)は高度肺高血圧症のため現時点では移植不適応でありエポプロステノール投与にて移植の可能性を探っている.肺血管異常発見年齢は移植施行例では 4 歳 5 カ月,5 歳,12歳に対し,移植不適応,または未施行例は 6 歳,8 歳 9 カ月,18歳であった.【結論】移植に至っていない 3 例は,肺血管異常の認識が不十分で発見が遅れた例である.【結語】胆道閉鎖症術後HPSやPPHを合併した場合には移植はいっそう困難となるため,注意深い経過観察で早期発見に努める必要がある.

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