I-P-75
肝・門脈疾患に伴う肺高血圧症(門脈性肺高血圧症)へのクエン酸sildenafilの有用性
東邦大学医療センター大森病院小児科
直井和之,嶋田博光,高月晋一,中山智孝,松裏裕行,佐地 勉

【目的】今回,門脈体循環短絡症(PSS)を伴った肺高血圧症(PAH)3例を経験し,クエン酸sildenafilの有用性について検討した.【対象】3 例;年齢は 3,9,35歳,全例女性.経過観察期間;3 カ月~1 年.治療;beraprost + sildenafil.beraprost投与量;0.6~0.7eg/kg/day.sildenafil投与量;0.3~0.7mg/kg/day.【結果】PSSの診断の契機は,case 1:ヘルニア術前検査時の凝固異常.case 2:気管支喘息で入院時,採血上のアンモニア高値.case 3:喀血.PPSの診断は腹部エコーおよびCT.診断名:門脈-下大静脈シャント 2 例,左門脈-左肝静脈シャント 1 例.経過観察期間;3~12カ月.3 例の治療前の平均PA圧は53mmHg.NYHA分類;case 2 2 度,case 3 3 度,治療後増悪はなかった.平均PA圧;case 1 57から46mHg(-19%),case 3 57から52mmHg(-9%).Rp;case 1 11.7から9.9単位(-15%).6 分間歩行距離テスト(6MWT);case 1 335から491m(+47%),case 2 512から515m(+1%),case 3 441から488m(+11%).室内気SpO2;case 1 91から96%,case 2 96から96%,case 3 93から93%.BNP値;case 1 3 から 2pg/ml,case 2 41.6から23.4pg/ml(-44%),case 3 30.7から46.5pg/ml(+51%).【結論】sildenafil投与によりPA圧の低下および 6MWTの改善が得られ,特発性肺動脈性高血圧症と同様,門脈性肺高血圧症に対しても有効であった.

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